【春の季語=三春(2月〜4月)】日永
晩冬には「日脚伸ぶ」という季語があるが、春となって「春分」を過ぎると、いよいよ日が長くなったと感じられる。やわらかな「春風」の吹く日は、「うららか」で「のどか」で「あたたか」である。
歳時記のネットワークにおいては、夏の「短夜」、秋の「夜長」、冬の「短日」に対応する季語でもある。
【日永(上五)】
【日永(中七)】
さざなみの日永近江に薬売 鷲谷七菜子
ちとけて日永の膝をくづしけり 鈴木真砂女
【日永(下五)】
門下にも門下のありし日永かな 久保田万太郎
鉛筆を削りためたる日永かな 久保田万太郎
マンボウに水槽狭き日永かな 渡辺玄舟
羊羹の傷一つなき日永かな 河内静魚
地獄絵のほのほ人のむ日永かな 小川軽舟
先頭へ車輛のなかをゆく日永 小池康生
なで肩のペンギン並ぶ日永かな 飯田冬眞
ばらばらの向きにペンギン立つ日永 岡田由季
大学に食堂のある日永かな 宮本佳世乃
廃れたる城に鳥とぶ日永かな 藤本夕衣
二階には店員の来ぬ日永なり 遠藤容代
ペリカンがよろめいている日永です 藤田哲史
【ほかの季語と】
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】