夏の季語

【夏の季語】蜘蛛

【夏の季語=三夏(5〜7月)】蜘蛛

暖かい季節の終わりは「蜘蛛」にとって恋の季節。

新しく生命を授かった「蜘蛛の子」(夏の季語)は、一斉に安住の地を求めて散っていく。

糸を張って小型動物を捕食することがあるのが特徴のひとつ。

「蜘蛛の囲」「蜘蛛の巣」「蜘蛛の網」「蜘蛛の糸」なども季語とされる。


【蜘蛛(上五)】
蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな 高浜虚子
蜘蛛消えて只大空の相模灘 原石鼎
蜘蛛夜々に肥えゆき月にまたがりぬ 加藤楸邨
蜘蛛しずか又も未曾有の雨の世に 寺井谷子
朝の蜘蛛シーツにたましひの残る 西原天気
蜘蛛よりも甘く重なるだけのこと 小津夜景

【蜘蛛(中七)】
われ病めり今宵一匹の蜘蛛も宥さず 野澤節子
鉄階にいる蜘蛛智恵をかがやかす 赤尾兜子
東京やベッドの下に蜘蛛ひからび 横山白虹
聖玻璃に一点の蜘蛛 原爆都市 たむらちせい
父疾うに喰はれて蜘蛛の赤ん坊 佐山哲郎
生と性と死と朝の蜘蛛おりてくる 赤羽根めぐみ

【蜘蛛(下五)】
夕雲をつかみ歩きて蜘蛛定まる 西東三鬼
崩れた積木基地に似る夜の蜘蛛渡る 金子兜太
健やかなれ我を朋とす夜の蜘蛛  池田澄子
星に距離置いて何処へも行かぬ蜘蛛 森山いほこ

【自由律】
ラストシーンに蜘蛛の降りる  藤井雪兎



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