セクト・ポクリットでは2021年1月より、「コンゲツノハイク」をはじめてちょうど1年が経ちました(祝!)。こちらは前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から「(最大)7句」を推薦いただき、掲出するコーナーです。今月は、36結社がご参加! ご協力ありがとうございます。
このページの句から一句選んで鑑賞いただく読者参加型コーナー「コンゲツノハイクを読む」は、1月20日締切です。どなたでもご参加いただけますので、詳しくはこちらをご覧ください。
来月分のコンゲツノハイク(1月31日締切)については、こちらのフォームからご投稿ください。
コンゲツノハイク 2022年1月
(2021年12月刊行分)
今月の参加結社(36)=「秋」「秋草」「いには」「炎環」「円虹」「火星」「かつらぎ」「銀化」「銀漢」「雲の峰」「櫟」「香雨」「澤」「磁石」「秋麗」「蒼海」「鷹」「たかんな」「滝」「橘」「田」「天穹」「都市」「南風」「鳰の子」「濃美」「ひろそ火」「ふよう」「ペガサス」「ホトトギス」「松の花」「むじな」「百鳥」「森の座」「街」「雪華」
「秋」(主宰=佐怒賀正美)【1961年創刊・東京都練馬区】
<2021年12月号(通巻600号)>
緑陰の風の出口に至りけり 馬場裕美
銃痕のチャペルを森を霧が断つ 鈴木光子
鶏頭にバンタム級とフライ級 青柳 飛
パーゴラにふて寝の少女青瓢 渡部奈津子
コスモスや乾いた色に駅を発つ 本多美穂
泣き顔は太つて見える酔芙蓉 森山夕香
銀河石を選びし父の墓洗ふ 富田圭香
「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2022年1月号(通巻145号)>
塵取を飛び出してゆく落葉かな 山口昭男
親鸞の大きな耳や初しぐれ 渡辺一二三
鶏を抱ふる女秋の暮 村上瑠璃甫
柿吊す選挙対策本部かな 橋本小たか
壁のしみ気になつてゐる夜食かな 桑山文子
干す柿の影となるまで話しけり 野名紅里
白菊を流るるやうに活けてあり 小山尚子
「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2022年1月号>
喪中とあるゴリラの檻にいぼむしり 村上喜代子
身に入むや女性総理はまだドラマ 吉野まつ美
父として話聞く夜やぬくめ酒 辻 忠樹
実むらさき直葬といふ密な時 南川久美子
大空のほころびに似て二日月 かしむらまさこ
「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2021年12月号(通巻498号)>
ニンゲンの中の人間濃むらさき 石寒太
流れ星佐渡に眠れる船箪笥 永井朝女
桔梗に良きことのまたあるかしら 長谷川のり子
秋の蚊と女性専用車に男 岸ゆうこ
冬晴やうわつとひらく落下傘 岡田由季
フリーハンドの墓案内図小鳥来る 小熊幸
湯の湧いて菊の畑の在りしとき 宮本佳世乃
「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和四年一月一日 第325号>
屈んでは名をひろひては花野径 元田品子
落鮎の瀨音もろとも痩せにけり 乾北星
秋風がインターチェンジ降りてくる 楠山紫宵
百年の蔵に高窓小鳥来る 松井嘉代子
うそ寒や立ち食ひそばの薄きつゆ 山地惠鼓
こつこつと渋柿むいて吊しをり 近藤恵子
一口目藻塩で綴る走る蕎麦 古谷より子
「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2021年12月号(通巻983号)>
ねずみもちの実が怠けよとそそのかす 山尾玉藻
初風の窓を離れぬ顔ひとつ 山田美恵子
白桃の紅うつろへる不動尊 五島節子
母の忌の上座に叔母や菊日和 高松由利子
邯鄲を聞く集りの相知らず 蘭定かず子
手庇にあまるコタンや小鳥来る 大内鉄幹
舞殿に木の葉の舞へる秋意かな 坂口夫佐子
「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2021年12月号(通巻1104号)>
生田筋トーアロードと秋惜む 森田純一郎
いわし雲空に大河のあるごとし 平田冬か
鳥渡れ今し三山小手の内 村手圭子
迎へ火や薄化粧せしけふの母 水口祭
またしても帰省叶はぬ年となり 栗原勝風
新涼に背の鞄の軽きかな 菅原好隆
妻慌てごきぶり更に慌てたる 森崎健二
「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2022年1月号(通巻280号)>
輪切りしていつまでを海鼠と呼ぶか 橋本喜夫
猿の腰掛S席の売れ残る 宮本珠江
手触りはたとへば冬の朝の馬具 大西主計
午前零時いまたけなはの夜長かな 矢野二十四
絨毯の柄を見てゐる土下座かな 田島実桐
狐火の消し忘れかなけもの径 南星研
七竈マルゲリータの縁の焦げ 西野徹
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2022年1月号(通巻133号)>
初日記楷書で綴る二三日 伊藤伊那男
祇王寺の枝折戸押さば露の世へ 武田 禪次
姿見るための一服松手入 小泉 良子
秋天へ玻璃三面の昇降機 岡城ひとみ
唇は言葉のかたち秋の声 松代 展枝
葦の絮飛び去る矢立始めの地 半田けい子
鎌倉の闇は黄泉へとちちろ鳴く 森濱 直之
「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2021年12月号(通巻366号)>
枝豆をたつぷり茹でて林住期 西田 洋
鑑真に月を残して門を辞す 吉村征子
夜気少し当てて鈴虫鳴かせけり 小澤 巖
一等は鉛筆五本鵙日和 高野清風
廂間は島の通路や秋の湖 福長まり
藤袴咲きたる庭に旅の蝶 片上節子
ジョバンニもカムパネルラも銀漢に 梶谷三郎
「櫟」(主宰=江崎紀和子)【1993年創刊・愛媛県東温市】
<2021年12月号(通巻339号)>
月夜茸電波届かぬ宿にゐて 杉山望
これ以上曲がらぬ臍や濁り酒 宍野宏治
酒なくてなんの流浪ぞ牧水忌 岡本士郎
そぞろ寒急須の蓋に穴一つ 重松冴子
買ひ置きの水古る二百十日かな 橋本法子
山頭火留守と木の札草の絮 佐伯和子
朝顔の紫紺は江戸の心意気 種谷良二
「香雨」(主宰=片山由美子)【2019年創刊・東京都世田谷区】
<2022年1月号(通巻37号)>
溶岩原の冷ゆる月日や吾亦紅 櫨木優子
空蟬を採る瘡蓋をはがすごと 西宮舞
長き夜や父の蔵書に囲まれて 矢野みはる
曼珠沙華煙たなびくごと萎れ 宿谷晃弘
萩の花鋏の音にこぼれけり 小野道子
赤とんぼ止まりて草の揺れもなし 佐藤孝志
衰へてより鶏頭に近づかず 牧辰夫
「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2021年12月号(通巻261号)>
異形石器の尖れるは眼か木下闇 小澤實
体操着引き破りたり棒倒し 新澤岳
吾が額をうちて秋蝉ヂと鳴けり オオタケシゲヲ
姿見に座敷童子や黴の宿 宮田應孝
逝く夏の汝がくちびるは雨の味 榮猿丸
フルーツサンド葡萄断面四つ並び 森下秋露
飼ひ鶏潰す母の手早さ草紅葉 大竹安子
「磁石」(主宰=依田善朗)【2021年1月創刊・埼玉県蓮田市】
<2021年11月号(通巻6号)>
蟻地獄つんと鳴りたる尾骶骨 依田善朗
虫の名にもモドキ・ダマシや夏盛ん 角谷昌子
折つて折つて絞る軟膏みんみん蟬 篠崎央子
トマト切る淡き曼荼羅重ねつつ 寺澤佐和子
鳩何かしきりに探す原爆忌 坂田晃一
鍋ごとに違ふ匂ひの芋煮会 景山田歌思
パンツ干す紙魚増やしゆく書斎かな 飯田冬眞
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2021年12月号(通巻135号)>
義経堂の浅き軒借る時雨かな 藤田直子
高稲架や荒海は能登鍛へをり 市村栄理
ペガサスへ漕ぎ進みたるガレー船 東 蕾
星とんで結末変はる物語 志村斗萌子
人買ひ譚伝はる峠曼珠沙華 嵯峨広靖
枷多き露の身杖をよすがとし 古屋 凜
満つるとは力抜くこと黄落期 山田蹴人
「蒼海」(主宰=堀本裕樹)【2018年創刊・東京都新宿区】
<2021年14号(通巻14号)>
百の柄みな花柄のあつぱつぱ 曲風彦
警官の私語かろやかや夏の夕 白山土鳩
蜩や大教室に忘れもの 窪田千滴
藻にたまご移し透けゆく目高かな 杉澤さやか
エレベータより夏痩の手を振りぬ 早田駒斗
受話器よりきく海風や夜の秋 西木理永
幼子にへびと呼ばれて蜥蜴去る 中村たま実
「鷹俳句会」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2022年1月号>
めくるめくバッシュの軋み冬来たる 小川軽舟
稲穂波古墳の森の明けきたる 梯寛
妻と行く帽子屋後の更衣 吉祥治郎
スカジャンの龍金秋の海渡る 鈴木雅史
コスモスや空見る人の言葉待つ 小林恭子
蠟石の線路の終り秋灯 斉田多恵
秋高し天文好きと地層好き 瀬戸りん
「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2021年12月号(通巻348号)>
あの刻が終の電話に桐一葉 冨舛哲郎
抱き起こすとき息づけり捨案山子 岩津必枝
高窓を過る色鳥けふ二度目 江渡文子
よこがほの美しき黒猫暮の秋 村田加寿子
露の世に残る軍服軍袴かな 三野宮照枝
コスモスは占ひの花きつと来る 庄司紀野
こだはりの夫が塩打つ初秋刀魚 小笠原イク子
「滝」(主宰=成田一子)【1992年創刊・宮城県仙台市】
<2021年12月号(通巻359号)>
柚子湯沁む十五歳の陰のありどころ 成田一子
山茶花散る果ては地声となつて散る 石母田星人
溢れれば一大飛瀑天の川 堀籠政彦
秋の天乳におぼるる赤ん坊 遠藤玲子
芋嵐乳吸ふ吾子のゆるみゆく 梅島 希
風かはすことにも慣れて野紺菊 齋藤善則
生国の星のにほひの梨を剥く 及川源作
「橘」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2021年11月号(通巻527号)>
父のあるやうに十薬干されたる 山口風樹
五右衛門の風呂の滾りや夏の果 若林 好
村人の清むる水車青田風 若林朝子
水餃子の青の透けゐて夏惜しむ 田中久美子
正直な父の提げたる山ぶだう 干野風来子
バッタ翔ぶ油の切れた音立てて 安藤達雄
古書店の値札褪せたり晩夏光 髙嶋 静
「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2022年1月号(通巻226号)>
一族の働き盛り青蜜柑 清水余人
平凡な枝うつせみの鈴生りに 細川朱雀
色変へぬ松やなんにも言はぬ松 笠原小百合
人里を無何有の郷を曼殊沙華 平野山斗士
十月の大河を越えて客来たる フォーサー涼夏
抗体のしづかに育つ夜長かな 兼行美栄
秋暑しそよかぜチキン南蛮へ 橘 花優
「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2022年1月号(通巻287号)>
サフランの香るパエリア小鳥来る 塚本一夫
駄菓子屋にきいちのぬりゑ色鳥来 藤原基子
蛤となれぬ雀へ威銃 渡辺花穂
利酒やカラヤンのごと目を瞑り 藤栄誠治郎
絞り機も親父も昭和新豆腐 久保田雅久
小三治を枕辺に聴く夜長かな 髙野紀子
カラメルの香桂黄葉の森に満つ 奥野葉子
「都市」(主宰=中西夕紀)【2008年創刊・東京都町田市】
<2021年12月号(通巻84号)>
鬼の子を大き犬来て嗅ぎゆけり 中西夕紀
雲わけてくる初雁のこゑならむ 城中 良
航涼し舳先は摩天楼を指し 星野佐紀
城門の影を落として菱の花 秋澤夏斗
菱の実をいつもの人に求めけり 井手あやし
束で買ふ軍手の白さ夏の果 砂金 明
ありし日の父母と居るごと蚊遣香 小寺檸檬
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2022年1月号(通巻938号)>
建つ前に売れるマンション鳥渡る 深水香津子
月光やピアノこよひもすきとほる 北見鳩彦
火の色を見せて蜻蛉の来たりけり 星野早苗
色鳥やポケットに挿す文庫本 日野久子
わが庭の草むらめくや十三夜 岡原美智子
秋の蚊の逸れたるところ強く打つ 澤木恭子
冬近しキッチンカーの灯のにほふ 桑原規之
「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2021年12月・2022年1月号(通巻51号)>
雨だれの音か砧を打つ音か 柴田多鶴子
星飛んで谷にケーナの調べ降る 新谷壯夫
流れゆく木の葉に止まり夕とんぼ 師岡洋子
引く波の砂洗ふ音夕涼み 政元京治
立秋や博物館に搬入車 松本美佐子
背番号もらふ少年秋高し 山口登
トンネルをいくつ抜けても雲は秋 古曳伯雲
「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2022年1月号(通巻154号)>
太箸にひときは濃ゆく夫の名 渡辺純枝
出来秋の一段大き爺の声 長屋和子
一瞬の光飛び散る稲雀 村上清子
昏れぎはのつなぎ蜻蛉の別れ時 前田ひとみ
日本に富士山のある初秋かな 加藤裕之
別邸の褪せし表札金木犀 泉信子
待つ人のこころも濡らす秋の雨 進藤佐喜子
「ひろそ火」(主宰=木暮陶句郎)【2011年創刊・群馬県渋川市】
<2021年12月号(通巻131号)>
竹林の風の旋律冬近し 木暮陶句郎
癒えたるを喜びくれし月の客 佐藤志乃
一瞬の眼底検査虎ヶ雨 茂木妃流
吊橋のゆらりと秋を引き寄する 溝渕雅子
秋一望影とひかりの地図広げ 松本余一
うつくしく囚はれゐたり虫鬼灯 里村 閑
山住みの一服の茶に虫の声 岩佐晴子
「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2021年12月号(通巻82号)>
河豚の宿地酒三種を飲み比べ 千々和恵美子
冬月赤し渋滞の橋ゆらぎ 安倍真理子
一村をつらぬく川瀬猟期くる 貴田将子
塗椀のにぶき光や今朝の冬 白井しげ子
紅葉のたけなはにして木々の寂 垣内かをる
冬の月父母天寿全うされよ 渡辺味蕾
ランドセル追ふ落葉風ルルルルル 村上智恵子
「ペガサス」(代表=羽村美和子)【2018年創刊・千葉県千葉市】
<2021年12月号(通巻12号)>
月光の一番遠くにある檸檬 石井美髯
秋うらら痛くないかと聞く隣人 伊与田すみ
雪虫は斥候裸婦像動き出す 原田昌克
ゆで栗の湯気忘れてたラブレター 田中勲
秋の夜のスコッチ二杯までは待つ 亀山こうき
朝顔はそっけない顔電車来る 陸野良美
放課後の記憶を手繰る金木犀 木下小町
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2022年1月号(通巻1501号)>
もう逢へぬ姉を心に月仰ぐ 稲畑汀子
探すともなく新涼に出会ひけり 今橋周子
湯上りの下駄や線香花火買ふ 塚本武州
花蕎麦の香の生まれては風となる 笹尾玲花
風吹きて風鈴の音散りゆけり 渡辺真理子
刻むほどバジル濃くなる文月の夜 松藤素子
蕎麦猪口の花の香りの新走 岸田祐子
「松の花」(主宰=松尾隆信)【1998年創刊・神奈川県平塚市】
<2021年12月号(通巻288号)>
処暑の腕くねらせて消すマッチかな 松尾隆信
色なき風や「運命」をカラヤンで 松田知子
野分の夜鉄の柱は壁の内 佐々木玄太
衣被つるりと明日への希望 櫻井波穂
紅少し老人の日を化粧ふ 秋山迪子
うつせみを清め尽せる今日の月 石川暉子
こほろぎの横切る夕の畳かな 加川秀男
「むじな」(発行人=浅川芳直)【2017年創刊・宮城県名取市】
<2021年(通巻5号)>
雪纏ひつつ砂箱の砂湛ふ 田口鬱金
海底に生やしてみたき曼珠沙華 相馬京菜
みちのくに生まれて青き嶺拝む 工藤吹
白桃の老いる右からひとつづつ 千倉由穂
窓を見て窓の向うの時雨かな 斉藤志歩
冷房もみな潮風となりなけり うにがわえりも
人白くほたるの森へ溶けきれず 浅川芳直
「百鳥」(主宰=大串章)【1994年創刊・千葉県鎌ケ谷市】
<2021年12月号(通巻333号)>
干柿に夕日かがやく藁屋かな 大串章
おしろいの花増えてくる母の家 森賀まり
虫の声仁王の足の辺りより 宮沢美和子
見舞ひたる後秋の海見て帰る 杉山みゆき
虫の音やひとりはやめに出勤す 中山奈々
終戦日よりの樺太語る姉 西 石蕗
名月や時空の旅の石舞台 長江英子
「森の座」(代表=横澤放川)【2017年創刊・東京都文京区】
<2021年12月号>
さびしいぞまたきらきらと囮鮎 横澤放川
細枯れの老いの読書や蝉時雨 榑沼清子
口笛で呼べば鬼灯うきうきす 小川雪魚
機に縋る手懸りもなき蟻の民 内田洋
花芒笊に盛られて百円パン 岸本千絵
草田男の千空の影星飛べり 中村百仙
棒で描く線路は続く新松子 栗原実季
「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2021年12月号>
全般を見るてふ閑職秋の暮 今井聖
はんぺんの膨れきつたる良夜かな 上田貴美子
きりぎりすタクシーも電車も来ない 小久保佳世子
吉原を巡るツアーや秋燕 柴田千晶
夜業の二人不定期に笑ひ合ふ 竹内宗一郎
背泳ぎの顔の小さき素秋かな 高橋麗子
実柘榴を雨の伝ふや愚かしく 太田うさぎ
「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2022年1月号>
火の帯のごとき日の川秋夕焼 大柄輝久江
流し場の束子の痩せて神の留守 星出航太郎
木の葉髪落としさうなる銀釦 西川良子
声帯は父性の記憶冬初め 五十嵐秀彦
秋灯をはさんでパンのやはらかし 土井探花
逝く秋や妻の瞼を指で閉づ 髙橋亜紀彦
生き下手やのべつ枯野に立ち尽くす 三品吏紀
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2022年1月31日
*対象は原則として2022年1月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください。
◆配信予定=2022年2月5日
◆投稿先
以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/
【「コンゲツノハイク」のバックナンバー】
>>2021年12月の「コンゲツノハイク」(2021年11月刊行分)【33結社参加】
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>>2021年11月の「コンゲツノハイク」(2021年10月刊行分)【36結社参加】
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>>2021年10月の「コンゲツノハイク」(2021年9月刊行分)【34結社参加】
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>>2021年9月の「コンゲツノハイク」(2021年8月刊行分)【34結社参加】
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>>2021年8月の「コンゲツノハイク」(2021年7月刊行分)【28結社参加】
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>>2021年7月の「コンゲツノハイク」(2021年6月刊行分)【32結社参加】
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>>2021年6月の「コンゲツノハイク」(2021年5月刊行分)【33結社参加】
>>2021年5月の「コンゲツノハイク」(2021年4月刊行分)【34結社参加】
>>2021年4月の「コンゲツノハイク」(2021年3月刊行分)【27結社参加】
>>2021年3月の「コンゲツノハイク」(2021年2月刊行分)【29結社参加】
>>2021年2月の「コンゲツノハイク」(2021年1月刊行分)【21結社参加】
>>2021年1月の「コンゲツノハイク」(2020年12月刊行分)【14結社参加】
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