神保町に銀漢亭があったころ

【クラファン目標達成記念!】神保町に銀漢亭があったころリターンズ【20】/片山辰巳

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銀漢亭の思い出

片山辰巳
(「川柳峠」)


 振り返ればもう十余年前になるでしょうか。当時も加わっていた、神田神保町「銀漢亭」での活発な「湯島句会」。ここへ、川島秋葉男さんから「川柳も俳句も五七五。ぜひ参加を」とのお誘いがありました。

 同じ十七音とはいえ、私は俳句に関してはずぶの素人です。それでも、「川柳に季語を入れたら何とかなるだろう」と乱暴で浅はかな考えで参加したのでした。当然「無点」かと思っていたら何点か点が入り、東京の倅が送ってくれた歳時記と格闘し、しばらくは川柳まがいの拙い俳句が東京神田をさまよっていました。

 数カ月後ご挨拶も兼ねて上京。銀漢亭に行ってまず感激したのは、皆さんの大歓迎でした。

 私はもう何十年も四国の片田舎で生活してきました。昔はともかく、今は高齢の方も多い。銀漢亭に集まられた皆さんの生き生きとした若さやアクティブな考えに感激し、すぐに十年来の知己のような雰囲気に浸った一日でした。

 その後、毎月投句を続け、伊藤伊那男主宰に拙句を選んでもらったりして、再度上京。今度は「片山辰巳を迎えての川柳大会」などとありがたいものも開催されるとのこと。「よっしゃ」とばかり勇んで銀漢亭に向かいました。二回目とあって、知り合いの方も何人かいらっしゃり、伊那男さんの心づくしの料理、皆さん持ち寄りの銘酒、珍味などを味わいながら和やかな時を過ごしたのでした。

 銀漢亭の素晴らしさは、句会もさることながら、あの明るい雰囲気です。

 伊那男主宰、秋葉男さんらの男性諸兄もお若い。「まほ」さん「展枝さん」らの女性の皆さんにも歓迎され感慨にふけりながら、銀漢亭に足跡を残せた誇りを胸に東京をあとにしました。

 先日九十四歳を越え、まだ五七五を追求できてありがたいことで、思い残すこともなく自らに拍手をして星になるつもりです。


【執筆者プロフィール】
片山辰巳(かたやま・たつみ) 
昭和3年生まれ。柳人。愛媛の川柳吟社「川柳峠」所属。宇和島在住。


【神保町に銀漢亭があったころリターンズ・バックナンバー】

【19】鈴木淳子(「銀漢」同人)「あの日…」
【18】我部敬子(「銀漢」同人)「硝子扉の中」
【17】三代川次郎(「春耕」「銀漢」「雲の峰」同人)「関西にもいた銀漢亭のファンたち」
【16】寺澤佐和子(「磁石」同人)「夢の時間」
【スピンオフ】田中泥炭「ホヤケン」【特別寄稿】
【15】上野犀行(「田」)「誰も知らない私のことも」
【14】野村茶鳥(屋根裏バル鱗kokera店主)「そこはとんでもなく煌びやかな社交場だった」
【13】久留島元(関西現代俳句協会青年部長)「麒麟さんと」
【12】飛鳥蘭(「銀漢」同人)「私と神保町ーそして銀漢亭」
【11】吉田林檎(「知音」同人)「銀漢亭なう!」
【10】辻本芙紗(「銀漢」同人)「短冊」
【9】小田島渚(「銀漢」「小熊座」同人)「いや重け吉事」
【8】金井硯児(「銀漢」同人)「心の中の書」
【7】中島凌雲(「銀漢」同人)「早仕舞い」
【6】宇志やまと(「銀漢」同人)「伊那男という名前」
【5】坂口晴子(「銀漢」同人)「大人の遊び・長崎から」
【4】津田卓(「銀漢」同人・「雛句会」幹事)「雛句会は永遠に」
【3】武田花果(「銀漢」「春耕」同人)「梶の葉句会のこと」
【2】戸矢一斗(「銀漢」同人)「「銀漢亭日録」のこと」
【1】高部務(作家)「酔いどれの受け皿だった銀漢亭」



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