鳥帰るいづこの空もさびしからむに 安住敦【季語=鳥帰る(春)】

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鳥帰るいづこの空もさびしからむに

安住敦


四月最後の月曜日。そして春も過ぎ行こうとしています。春、惜しむですね。

なんとなく春の愁いの頃に思い出すのがこの一句。もうすっかり渡りの鳥たちは北へと帰っていったのでしょうか。春は秋に北方から越冬のために日本に渡ってきた鳥たちが、またはるかな刻をかけて、北へと帰ってゆく季節。

生きるための本能とはいえ、そんな鳥たちの姿をいつも切なく思う。途中で命を落としてしまう鳥たちもいる。空を飛べる自由はあれど、過酷な人生だな、とも思う。

そんな感傷的な気分になってしまうのも、この句があるからかもしれない。

この句は私の母の愛誦句で、父よりも先に母から俳句に触れた私は、「ああ、俳句ってなんて素敵なのかしら」とこの句の抒情性を深く愛したものだった。

 白鳥はさびしからずや海の青空のあをにも染まずただよふ

と詠んだのは若山牧水。牧水の歌にも敦の句にも美しい切なさが滲む。

日下野由季


【日下野由季のバックナンバー】
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【執筆者プロフィール】
日下野由季(ひがの・ゆき)
1977年東京生まれ。「海」編集長。第17回山本健吉評論賞、第42回俳人協会新人賞(第二句集『馥郁』)受賞。著書に句集『祈りの天』『4週間でつくるはじめてのやさしい俳句練習帖』(監修)、『春夏秋冬を楽しむ俳句歳時記』(監修)。



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