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馬の背中は喪失的にうつくしい作文だった。　石松佳

梅雨の日の烈しくさせば罌粟は燃ゆ　篠田悌二郎【季語＝梅雨・罌粟（夏）】

黒き魚ひそみをりとふこの井戸のつめたき水を夏は汲むかも　高野公彦

麦からを焼く火にひたと夜は来ぬ　長谷川素逝【季語＝麦からを焼く？】

プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ　石田波郷【季語＝夏来る（夏）】

先生はいつもはるかや虚子忌来る　深見けん二【季語＝虚子忌（春）】

春愁は人なき都会魚なき海　野見山朱鳥【季語＝春愁（春）】

春星や言葉の棘はぬけがたし　野見山朱鳥【季語＝春星（春）】

死はいやぞ其きさらぎの二日灸　正岡子規【季語＝二日灸（春）】

永き日や相触れし手は触れしまま　日野草城【季語＝永き日（春）】

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし　三橋鷹女【季語＝鞦韆（春）】

詩に瘦せて二月渚をゆくはわたし　三橋鷹女【季語＝二月（春）】

浅春の岸辺は龍の匂ひせる　対中いずみ【季語＝亀浅春（春）】

毒舌は健在バレンタインデー　古賀まり子【季語＝バレンタインデー（春）】

嗚呼これは温室独特の匂ひ　田口武【季語＝温室（冬）】

血を血で洗ふ絨毯の吸へる血は　中原道夫【季語＝絨毯（冬）】

賀の客の若きあぐらはよかりけり　能村登四郎【季語＝賀客（新年）】

イエスほど痩せてはをらず薬喰　亀田虎童子【季語＝薬喰（冬）】

新宿発は逃避行めき冬薔薇　新海あぐり【季語＝冬薔薇（冬）】

目薬の看板の目はどちらの目　古今亭志ん生

ここまでは来たよとモアイ置いていく　大川博幸

車椅子はもとより淋し十三夜成瀬正俊【季語＝十三夜（秋）】

【連載】もしあの俳人が歌人だったら Session#7

少女期は何かたべ萩を素通りに　富安風生【季語＝萩（秋）】

えりんぎはえりんぎ松茸は松茸後藤比奈夫【季語＝松茸（秋）】

指は一粒回してはづす夜の葡萄　上田信治【季語＝葡萄（秋）】

杜鵑草遠流は恋の咎として　谷中隆子【季語＝杜鵑草（秋）】

日まはりは鬼の顔して並びゐる　星野麦人【季語＝向日葵（夏）】

品川はみな鳥のような人たち　小野裕三

きりぎりす飼ふは死を飼ふ業ならむ　齋藤玄【季語＝螽蟖（秋）】

凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリヤ　中村草田男【季語＝凌霄（夏）】

フラミンゴ同士暑がつてはをらず　後藤比奈夫【季語＝暑し（夏）】

みすずかる信濃は大き蛍籠　伊藤伊那男【季語＝蛍籠（夏）】

乾草は愚かに揺るる恋か狐か　中村苑子【季語＝乾草（夏）】

人はみななにかにはげみ初桜　深見けん二【季語＝初桜（春）】

暖房や絵本の熊は家に住み　川島葵【季語＝暖房（冬）】

団栗の二つであふれ吾子の手は　今瀬剛一【季語＝団栗（秋）】

シャワー浴ぶくちびる汚れたる昼は　櫂未知子【季語＝シャワー（夏）】

馬の背中は喪失的にうつくしい作文だった。 石松佳

梅雨の日の烈しくさせば罌粟は燃ゆ 篠田悌二郎￼【季語＝梅雨・罌粟（夏）】

黒き魚ひそみをりとふこの井戸のつめたき水を夏は汲むかも 高野公彦

麦からを焼く火にひたと夜は来ぬ 長谷川素逝【季語＝麦からを焼く？】￼

プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ 石田波郷【季語＝夏来る（夏）】

先生はいつもはるかや虚子忌来る 深見けん二【季語＝虚子忌（春）】

春愁は人なき都会魚なき海 野見山朱鳥【季語＝春愁（春）】

春星や言葉の棘はぬけがたし 野見山朱鳥【季語＝春星（春）】

死はいやぞ其きさらぎの二日灸 正岡子規【季語＝二日灸（春）】

永き日や相触れし手は触れしまま 日野草城【季語＝永き日（春）】

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし￼ 三橋鷹女￼【季語＝鞦韆（春）】

詩に瘦せて二月渚をゆくはわたし 三橋鷹女【季語＝二月（春）】

浅春の岸辺は龍の匂ひせる 対中いずみ【季語＝亀浅春（春）】￼

毒舌は健在バレンタインデー 古賀まり子【季語＝バレンタインデー（春）】

嗚呼これは温室独特の匂ひ 田口武【季語＝温室（冬）】

血を血で洗ふ絨毯の吸へる血は 中原道夫【季語＝絨毯（冬）】

賀の客の若きあぐらはよかりけり 能村登四郎【季語＝賀客（新年）】

イエスほど痩せてはをらず薬喰 亀田虎童子【季語＝薬喰（冬）】

新宿発は逃避行めき冬薔薇 新海あぐり【季語＝冬薔薇（冬）】

目薬の看板の目はどちらの目 古今亭志ん生

ここまでは来たよとモアイ置いていく 大川博幸

車椅子はもとより淋し十三夜 成瀬正俊【季語＝十三夜（秋）】

【連載】もしあの俳人が歌人だったら Session#7

少女期は何かたべ萩を素通りに 富安風生【季語＝萩（秋）】

えりんぎはえりんぎ松茸は松茸 後藤比奈夫【季語＝松茸（秋）】

指は一粒回してはづす夜の葡萄 上田信治【季語＝葡萄（秋）】

杜鵑草遠流は恋の咎として 谷中隆子【季語＝杜鵑草（秋）】

日まはりは鬼の顔して並びゐる 星野麦人【季語＝向日葵（夏）】

品川はみな鳥のような人たち 小野裕三

きりぎりす飼ふは死を飼ふ業ならむ 齋藤玄【季語＝螽蟖（秋）】

凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリヤ 中村草田男【季語＝凌霄（夏）】

フラミンゴ同士暑がつてはをらず 後藤比奈夫【季語＝暑し（夏）】

みすずかる信濃は大き蛍籠 伊藤伊那男【季語＝蛍籠（夏）】

乾草は愚かに揺るる恋か狐か 中村苑子【季語＝乾草（夏）】

人はみななにかにはげみ初桜 深見けん二【季語＝初桜（春）】

暖房や絵本の熊は家に住み 川島葵【季語＝暖房（冬）】

団栗の二つであふれ吾子の手は 今瀬剛一【季語＝団栗（秋）】

シャワー浴ぶくちびる汚れたる昼は 櫂未知子【季語＝シャワー（夏）】

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馬の背中は喪失的にうつくしい作文だった。　石松佳

梅雨の日の烈しくさせば罌粟は燃ゆ　篠田悌二郎【季語＝梅雨・罌粟（夏）】

黒き魚ひそみをりとふこの井戸のつめたき水を夏は汲むかも　高野公彦

麦からを焼く火にひたと夜は来ぬ　長谷川素逝【季語＝麦からを焼く？】

プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ　石田波郷【季語＝夏来る（夏）】

先生はいつもはるかや虚子忌来る　深見けん二【季語＝虚子忌（春）】

春愁は人なき都会魚なき海　野見山朱鳥【季語＝春愁（春）】

春星や言葉の棘はぬけがたし　野見山朱鳥【季語＝春星（春）】

死はいやぞ其きさらぎの二日灸　正岡子規【季語＝二日灸（春）】

永き日や相触れし手は触れしまま　日野草城【季語＝永き日（春）】

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし　三橋鷹女【季語＝鞦韆（春）】

詩に瘦せて二月渚をゆくはわたし　三橋鷹女【季語＝二月（春）】

浅春の岸辺は龍の匂ひせる　対中いずみ【季語＝亀浅春（春）】

毒舌は健在バレンタインデー　古賀まり子【季語＝バレンタインデー（春）】

嗚呼これは温室独特の匂ひ　田口武【季語＝温室（冬）】

血を血で洗ふ絨毯の吸へる血は　中原道夫【季語＝絨毯（冬）】

賀の客の若きあぐらはよかりけり　能村登四郎【季語＝賀客（新年）】

イエスほど痩せてはをらず薬喰　亀田虎童子【季語＝薬喰（冬）】

新宿発は逃避行めき冬薔薇　新海あぐり【季語＝冬薔薇（冬）】

目薬の看板の目はどちらの目　古今亭志ん生

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少女期は何かたべ萩を素通りに　富安風生【季語＝萩（秋）】

えりんぎはえりんぎ松茸は松茸後藤比奈夫【季語＝松茸（秋）】

指は一粒回してはづす夜の葡萄　上田信治【季語＝葡萄（秋）】

杜鵑草遠流は恋の咎として　谷中隆子【季語＝杜鵑草（秋）】

日まはりは鬼の顔して並びゐる　星野麦人【季語＝向日葵（夏）】

品川はみな鳥のような人たち　小野裕三

きりぎりす飼ふは死を飼ふ業ならむ　齋藤玄【季語＝螽蟖（秋）】

凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリヤ　中村草田男【季語＝凌霄（夏）】

フラミンゴ同士暑がつてはをらず　後藤比奈夫【季語＝暑し（夏）】

みすずかる信濃は大き蛍籠　伊藤伊那男【季語＝蛍籠（夏）】

乾草は愚かに揺るる恋か狐か　中村苑子【季語＝乾草（夏）】

人はみななにかにはげみ初桜　深見けん二【季語＝初桜（春）】

暖房や絵本の熊は家に住み　川島葵【季語＝暖房（冬）】

団栗の二つであふれ吾子の手は　今瀬剛一【季語＝団栗（秋）】

シャワー浴ぶくちびる汚れたる昼は　櫂未知子【季語＝シャワー（夏）】