左義長のまた一ところ始まりぬ
三木
一月も半分過ぎておとろちや
もう泡食う日々でございますが、ことにこの…その…金曜日ですよー。どうしてー、早すぎる…。
前回、三が日が週末と重なることのデメリットを愚痴りましたけれど、1週間たって、わたしまた見つけましたわ(回文風)。三が日が週末から始まると、元旦からどのくらい経って、月末まであとどのくらいなのかが、ものすごく数えやすいということだ。三が日や祝日や連休に紛れて、太陽暦があんまりわからないまま一月の終わりを迎えて、なんか早かったなーというのが、心臓にやさしい一月の経過の仕方だと思うんですが、いかがか。
そんな一月の真中頃、十四日の夜だか十五日だか(つまり陰暦(月でカウントする暦)の十五番目の日の内だが)に行われる(しかも地方により違いあり)のが、どんど焼き・左義長などと言われる行事。新年のお飾りを焼くのだと言われれば、この日付には合点がいく。
実は、どんど焼きを見たことがあるのかないいのか、よく覚えていない。いつかの国語の教科書に出てきた景色が刷り込まれたもののような気もするし、ニュース動画で見たのかもしれないし、本当にどこかで見たのかもしれない。
ただ、昨年末に紐で縛った紙類を、まだリサイクルの朝に出しに行けないくらいの寒がりで無精の私が、わざわざ自分の家のお飾りを、例え家族と一緒でも出しに行ったはずはないような気がする。けれど、昔はそんなに寒がりでもなかったんだろうか。
左義長のまた一ところ始まりぬ
句は『虚子編新歳時記』から。姓不明。そんなに寒がりではないのか、長時間にわたってみている人の視線。飾りが燃料なのだから、持ってくるタイミングや、持ってこられるものの燃えやすさ、分量などによって、火の強さは一定ではないのだろう。だいたいの家から持ち寄られて、そろそろ終わりかなという頃に、忘れたように持ち寄るような人があるのかもしれない。まじめな人だ。
そんな風に、「また一ところ」というだけのことに、飾りのとりどりの様子や、そんな町内のまばらな人物配置などを映してしまう「中の句」のすごさには、ついつい目が引き寄せられる。その目の離せないところは、私の記憶の中にある左義長の様子と重なる。特に轟々とした勢いも、整った盛り上がりがあるというわけでもないけれど、その不揃いさについ目が離せなくなってしまう。
そういう句がいつか作れるようになりたいなあと願いながら、本当は早く身につけた方がいいのは、朝起きてリサイクルものを出せるようになる生活力だよなあと思ったりもする。
まあ、今年の目標のひとつとして、早寝早起きなんかができる週末になりますように(紙リサイクルの月曜、東京は少し暖かいらしいです)。
(阪西敦子)
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【執筆者プロフィール】
阪西敦子(さかにし・あつこ)
1977年、逗子生まれ。84年、祖母の勧めで七歳より作句、『ホトトギス』児童・生徒の部投句、2008年より同人。1995年より俳誌『円虹』所属。日本伝統俳句協会会員。2010年第21回同新人賞受賞。アンソロジー『天の川銀河発電所』『俳コレ』入集、共著に『ホトトギスの俳人101』など。松山市俳句甲子園審査員、江東区小中学校俳句大会、『100年俳句計画』内「100年投句計画」など選者。句集『金魚』を製作中。
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】