【毎日更新】俳人事典(50音順)

【ま行】
前北かおる(まえきた・かおる)1978年ー 〈大空へ解き放たれし燕かな
正岡子規(まさおか・しき)1867年ー1902年 〈十一人一人になりて秋の暮
正木ゆう子(まさき・ゆうこ)1952年ー 〈魔がさして糸瓜となりぬどうもどうも〉〈寒いねと彼は煙草に火を点ける〉〈やがてわが真中を通る雪解川
松本恭子(まつもと・きょうこ)1958年ー 〈恋ふたつ レモンはうまく切れません
松本たかし(まつもと・たかし)1906年ー1956年 〈雨音のかむさりにけり虫の宿〉〈金魚大鱗夕焼の空の如きあり〉〈とつぷりと後ろ暮れゐし焚火かな〉〈仕る手に笛もなし古雛〉〈世にまじり立たなんとして朝寝かな〉〈水仙や古鏡の如く花をかかぐ
三島広志(みしま・ひろし)1954年ー 〈また一人看取の汗を拭いて来し
三橋敏雄(みつはし・としお)1920年ー2001年 〈いつせいに柱の燃ゆる都かな〉〈初場所の力士顚倒し顚倒し〉〈橘や蒼きうるふの二月尽〉〈生前の長湯の母を待つ暮春〉〈両の眼の玉は飴玉盛夏過ぐ
南十二国(みなみ・じゅうにこく)1980年ー〈夏の暮タイムマシンのあれば乗る
峯尾文世(みねお・ふみよ)1964年ー 〈桐の実の側室ばかりつらなりぬ
宮坂静生(みやさか・しずお)1937年ー 〈デモすすむ恋人たちは落葉に佇ち
宮崎大地(みやざき・だいち) 〈七月へ爪はひづめとして育つ
宮崎斗士(みやざき・とし)1962年ー 〈柿の色とにかく生きなさいの色〉〈この三人だから夕立が可笑しい
宮田朗風(みやた・ろうふう) 〈白芙蓉今日一日は恋人で
宮本佳世乃(みやもと・かよの)1974年ー 〈万緑やご飯のあとのまたご飯〉〈橇にゐる母のざらざらしてきたる〉〈卒業の歌コピー機を掠めたる
村上鞆彦(むらかみ・ともひこ)1979年ー 〈五月雨や掃けば飛びたつ畳の蛾
村上瑠璃甫(むらかみ るりほ) 1968年ー 〈釣銭のかすかな湿り草紅葉
森賀まり(もりが・まり)1960年ー 〈夜の子の明日の水着を着てあるく〉〈湯の中にパスタのひらく花曇〉〈家濡れて重たくなりぬ花辛夷〉〈洗顔のあとに夜明やほととぎす
森川暁水(もりかわ・ぎょうすい)1901年ー1976年 〈夜なべしにとんとんあがる二階かな
森田愛子(もりした・あいこ)1917年ー1947年 〈美しき時雨の虹に人を待つ〉〈九頭龍へ窓開け雛の塵払ふ
森竹須美子(もりたけ・すみこ) 〈忽然と昭和をはりぬ夕霧忌
森瑞穂(もり・みずほ)1972年ー 〈東京の空の明るき星祭

【や行】
矢島渚男(やじま・なぎさお)1935年ー 〈節分や海の町には海の鬼〉〈さみだれの電車の軋み君が許へ〉〈父がまづ走つてみたり風車
安井浩司(やすい・こうじ)1936年ー2022年 〈鵺一羽はばたきおらん裏銀河〉〈ひるすぎの小屋を壊せばみなすすき
矢野玲奈(やの・れいな)1975年ー 〈とんばうの集ふあたりに加はる子〉〈数へ日を二人で数へ始めけり〉〈ガンダムの並ぶ夜業の机かな
山上樹実雄(やまがみ・きみお) 〈耳飾るをとこのしなや西鶴忌〉〈さくら仰ぎて雨男雨女
山崎聰(やまざき・さとし)1931年ー 〈順番に死ぬわけでなし春二番
山田牧(やまだ・ぼく)1972年ー 〈嚙み合はぬ鞄のチャック鳥曇
山口青邨(やまぐち・せいそん)1892年ー1988年 〈蛍火や飯盛女飯を盛る〉〈春立つと拭ふ地球儀みづいろに〉〈雲の中瀧かゞやきて音もなし〉〈藁の栓してみちのくの濁酒
山口優夢(やまぐち・ゆうむ) 1985年ー 〈婚約とは二人で虹を見る約束〉〈あぢさゐはすべて残像ではないか
◯山本たくみ(やまもと・たくみ)1994年ー 〈帰省せりシチューで米を食ふ家に
雪我狂流(ゆきが・ふる) 1948年ー 〈猿負けて蟹勝つ話亀鳴きぬ
吉田哲二(よしだ・てつじ)1980年ー 〈父の手に負へぬ夜泣きや夏の月

【ら行】
羅蘇山人(ら・そさんじん) 〈恋にしてわざと敗けたるかるた哉

【わ行】
若杉朋哉(わかすぎ・ともや)1975年ー 〈寝ようかと思うてすごす夜長かな〉〈寝そべつてゐる分高し秋の空〉〈みかんむくとき人の手のよく動く
若林哲哉(わかばやし・てつや)1998年ー〈合歓の花ゆふぐれ僕が僕を泣かす
渡部有紀子(わたべ・ゆきこ)1979年ー 〈土のこと水のこと聞き苗を買ふ
渡辺一二三(わたなべ・ひふみ) 〈缶ビールあけて東京ひびきけり

【AーZ】
Zéno Bianu 1950年ー 〈男はよろめき/星空はぐるぐる/かくも詩人の/天と地は/ひっくりかえり/星たちはアラブの/僧のように踊る