わが畑もおそろかならず麦は穂に　篠田悌二郎【季語＝麦の穂（夏）】

• 2021.08.12

品川はみな鳥のような人たち　小野裕三

• 2021.08.11

きりぎりす飼ふは死を飼ふ業ならむ　齋藤玄【季語＝螽蟖（秋）】

• 2021.08.10

愛情のレモンをしぼる砂糖水　瀧春一【季語＝砂糖水（夏）】

• 2021.08.09

藍を着古し／棚田の／父祖の／翳となる　上田玄

• 2021.08.08

目薬に涼しく秋を知る日かな　内藤鳴雪【季語＝秋（秋）】

• 2021.08.07

金魚すくふ腕にゆらめく水明り　千原草之【季語＝金魚（夏）】

• 2021.08.06

片影にこぼれし塩の点々たり　大野林火【季語＝片影】

• 2021.08.05

直立の八月またも来りけり　小島健【季語＝八月（秋）】

• 2021.08.04

東京の白き夜空や夏の果　清水右子【季語＝夏の果（夏）】

• 2021.08.03

新婚のすべて未知数メロン切る　品川鈴子【季語＝メロン（夏）】

• 2021.08.02

カルーセル一曲分の夏日陰　 鳥井雪【季語＝夏日陰（夏）】

• 2021.08.01

金閣をにらむ裸の翁かな　大木あまり【季語＝裸（夏）】

• 2021.07.31

愉快な彼巡査となつて帰省せり　千原草之【季語＝帰省（夏）】

• 2021.07.30

もろ手入れ西瓜提灯ともしけり　大橋櫻坡子【季語＝西瓜提灯】

• 2021.07.29

やはらかきところは濡れてかたつむり　齋藤朝比古【季語＝蝸牛（夏）】

• 2021.07.28

森の秀は雲と睦めり花サビタ　林翔【季語＝さびたの花（夏）】

• 2021.07.27

男欲し昼の蛍の掌に匂ふ　小坂順子【季語＝蛍（夏）】

• 2021.07.26

ひと魂でゆく気散じや夏の原　葛飾北斎【季語＝夏の原（夏）】

• 2021.07.25

暑き夜の惡魔が頤をはづしゐる　佐藤鬼房【季語＝暑し（夏）】

• 2021.07.24

炎天を山梨にいま来てをりて　千原草之【季語＝炎天（夏）】

• 2021.07.23

美しき緑走れり夏料理　星野立子【季語＝夏料理（夏）】

• 2021.07.22

麻服の鎖骨つめたし摩天楼　岩永佐保【季語＝麻服（夏）】

• 2021.07.21

麦真青電柱脚を失へる　土岐錬太郎【季語＝青麦（夏）】

• 2021.07.20

梅漬けてあかき妻の手夜は愛す　能村登四郎【季語＝梅漬ける（夏）】

• 2021.07.19

海底に足跡のあるいい天気　『誹風柳多留』

• 2021.07.18

何故逃げる儂の箸より冷奴　豊田すずめ【季語＝冷奴（夏）】

• 2021.07.17

ビール買ふ紙幣をにぎりて人かぞへ　京極杞陽【季語＝ビール（夏）】

• 2021.07.16

遊女屋のあな高座敷星まつり　中村汀女【季語＝星まつり（秋）】

• 2021.07.15

水を飲む風鈴ふたつみつつ鳴る　今井肖子【季語＝風鈴（夏）】

• 2021.07.14

農薬の粉溶け残る大西日　井上さち【季語＝大西日（夏）】

• 2021.07.13

凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリヤ　中村草田男【季語＝凌霄（夏）】

• 2021.07.12

ひまわりと俺たちなんだか美男子なり　谷佳紀【季語＝ひまわり（夏）】

• 2021.07.11

ひそひそと四万六千日の猫　菊田一平【季語＝四万六千日（夏）】

• 2021.07.10

フラミンゴ同士暑がつてはをらず　後藤比奈夫【季語＝暑し（夏）】

• 2021.07.09

のこるたなごころ白桃一つ置く　小川双々子【季語＝白桃（秋）】

• 2021.07.08

みすずかる信濃は大き蛍籠　伊藤伊那男【季語＝蛍籠（夏）】

• 2021.07.07

乾草は愚かに揺るる恋か狐か　中村苑子【季語＝乾草（夏）】

• 2021.07.06

ダリヤ活け婚家の家風侵しゆく　鍵和田秞子【季語＝ダリヤ（夏）】

• 2021.07.05

かけろふやくだけて物を思ふ猫　論派【季語＝陽炎（春）】

• 2021.07.04