仔馬にも少し荷を付け時鳥
橋本鶏二
句集『松囃子』より。
橋本鶏二はホトトギスで写生の名手としてならし、第一句集『年輪』の序に高濱虚子は「一口に申せば『鶏二は作者である』。といふに尽きるかと存候」。と述べています。
非常に巧みな写生で戦中戦後のホトトギスの先頭に立っていました。鶏二は、「花鳥諷詠の真の意義は、具象化されたる心象の表白にある」と述べ、「表白」がいかに大切かを説いています。
掲句は、季題「時鳥」で初夏。時鳥が鳴く薄暑の頃、親馬の外に、仔馬の背に少しの荷を付けたと、と言うことだけでを述べていますが、仔馬にとっても人の役に立っていることが嬉しい、という素振りが見えてきます。これも季題「時鳥」の鳴き声からくる、若干の忙しなさを伴う前向きなニュアンスから来るものだと思います。
中七の「少し荷を付け」の写生が非常に優れていると思います。労働の喜びを伴い、足取軽く次の目的地まで出発進行、と言う感じがします。
（杉原祐之）
【執筆者プロフィール】
杉原祐之（すぎはら・ゆうし）
1979年東京生まれ、東京・国分寺市在住。「慶大俳句」を経て、2001年「惜春」「山茶花」に入会、「惜春」を退会し、「夏潮」に参加。2021年「夏潮」にて「黒潮賞」を受賞。現在は、「山茶花」同人、「夏潮」運営委員。俳人協会会員。句集に『先つぽへ』（2010年）、『十一月の橋』（2022年）。
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2020年10月からスタートした「ハイクノミカタ」。【シーズン1】は、月曜＝日下野由季→篠崎央子（2021年7月〜）、火曜＝鈴木牛後、水曜＝月野ぽぽな、木曜＝橋本直、金曜＝阪西敦子、土曜＝太田うさぎ、日曜＝小津夜景さんという布陣で毎日、お届けしてきた記録がこちらです↓
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【2022年4月の火曜日☆九堂夜想のバックナンバー】
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【2022年3月の水曜日☆藤本智子のバックナンバー】
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＞＞〔3〕春天の塔上翼なき人等 野見山朱鳥
＞＞〔4〕春星や言葉の棘はぬけがたし 野見山朱鳥
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【2022年2月の火曜日☆永山智郎のバックナンバー】
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【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】
