ハイクノミカタ | セクト・ポクリット

にんじんサラダわたし奥様ぢやないぞ　小川楓子【季語＝にんじん（冬）】

冬麗の谷人形を打ち合はせ　飯島晴子【季語＝冬麗（冬）】

花八つ手鍵かけしより夜の家　友岡子郷【季語＝花八つ手（冬）】

あたゝかき十一月もすみにけり　中村草田男【季語＝十一月（冬）】

裸木となりても鳥を匿へり　岡田由季【季語＝裸木（冬）】

静臥ただ落葉降りつぐ音ばかり　成田千空【季語＝落葉（冬）】

待春やうどんに絡む卵の黄　杉山久子【季語＝待春（春）】

山椒の実噛み愛憎の身の細り　清水径子【季語＝山椒の実（秋）】

小鳥来る薄き机をひからせて　飯島晴子【季語＝小鳥来る（秋）】

蓑虫の蓑脱いでゐる日曜日　涼野海音【季語＝蓑虫（秋）】

向日葵をつよく彩る色は黒　京極杞陽【季語＝向日葵（夏）】

縄跳をもつて大縄跳へ入る　小鳥遊五月【季語＝縄跳（冬）】

しやぼんだま死後は鏡の無き世界　佐々木啄実【季語＝石鹸玉（春）】

鹿の映れるまひるまのわが自転車旅行　飯島晴子【季語＝鹿（秋）】

貝殻の内側光る秋思かな　山西雅子【季語＝秋思（秋）】

つれづれのわれに蟇這ふ小庭かな　杉田久女【季語＝蟇（夏）】

秋うらら他人が見てゐて樹が抱けぬ　小池康生【季語＝秋うらら（秋）】

萩にふり芒にそそぐ雨とこそ　久保田万太郎【季語＝萩・芒（秋）】

湯の中にパスタのひらく花曇　森賀まり【季語＝花曇（春）】

恋ふたつ　レモンはうまく切れません　松本恭子【季語＝レモン（秋）】

鹿や鶏の切紙下げる思案かな　飯島晴子

啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々　水原秋櫻子【季語＝啄木鳥（秋）】

べつたら市糀のつきし釣貰ふ　小林勇二【季語＝べつたら市（秋）】

秋・紅茶・鳥はきよとんと幸福に　上田信治【季語＝秋（秋）】

横顔は子規に若くなしラフランス　広渡敬雄【季語＝ラフランス（秋）】

五つずつ配れば四つ余る梨　箱森裕美【季語＝梨（秋）】

あきざくら咽喉に穴あく情死かな　宇多喜代子【季語＝あきざくら（秋）】

秋山に箸光らして人を追ふ　飯島晴子【季語＝秋山（秋）】

天高し鞄に辞書のかたくある　越智友亮【季語＝天高し（秋）】

新蕎麦のそば湯を棒のごとく注ぎ　鷹羽狩行【季語＝新蕎麦（秋）】

ロボットの手を拭いてやる秋灯下　杉山久子【季語＝秋灯下（秋）】

秋草の揺れの移れる体かな　涼野海音【季語＝秋草（秋）】

赤福のたひらなへらもあたたかし　杉山久子【季語＝あたたか（春）】

赤い月にんげんしろき足そらす　富澤赤黄男【季語＝月（秋）】

ここは敢て追はざる野菊皓かりき　飯島晴子【季語＝野菊（秋）】

また次の薪を火が抱き星月夜　吉田哲二【季語＝星月夜（秋）】

コスモスや泣きたくなつたので笑ふ　吉田林檎【季語＝コスモス（秋）】

黒岩さんと呼べば秋気のひとしきり　歌代美遥【季語＝秋気（秋）】

背広よりニットに移す赤い羽根　野中亮介【季語＝赤い羽根（秋）】

猫と狆と狆が椎茸ふみあらす　島津亮【季語＝椎茸（秋）】

泥棒の恋や月より吊る洋燈　大屋達治【季語＝月（秋）】

なにはともあれの末枯眺めをり　飯島晴子【季語＝末枯（秋）】

「十六夜ネ」といった女と別れけり　永六輔【季語＝十六夜（秋）】

月かげにみな美しき庭のもの　稲畑汀子【季語＝月影（秋）】

逢いたいと書いてはならぬ月と書く　池田澄子【季語＝月（秋）】

旅いつも雲に抜かれて大花野　岩田奎【季語＝大花野（秋）】

百方に借あるごとし秋の暮　石塚友二【季語＝秋の暮（秋）】

耳飾るをとこのしなや西鶴忌　山上樹実雄【季語＝西鶴忌（秋）】

肉声をこしらへてゐる秋の隕石　飯島晴子【季語＝秋（秋）】

手繰るてふ言葉も旨し走り蕎麦　益岡茱萸【季語＝走り蕎麦（秋）】

片足はみづうみに立ち秋の人　藤本夕衣【季語＝秋（秋）】

雨聴いて一つ灯に寄る今宵かな　村上鬼城【季語＝無月（秋）？】

なきがらや秋風かよふ鼻の穴　飯田蛇笏【季語＝秋風（秋）】

けふあすは誰も死なない真葛原　飯島晴子【季語＝葛の花（秋）】

敬老の日のどの席に座らうか　吉田松籟【季語＝敬老の日（秋）】

ラグビーのゴールは青き空にあり　長谷川櫂【季語＝ラグビー（冬）】

菊食うて夜といふなめらかな川　飯田晴【季語＝菊（秋）】

雨だれを聴きて信濃の濁り酒　德田千鶴子【季語＝濁り酒（秋）】

秋風や眼中のもの皆俳句　高浜虚子【季語＝秋風（秋）】

昼の虫手紙はみんな恋に似て　細川加賀【季語＝昼の虫（秋）】

婿は見えたり見えなかつたり桔梗畑　飯島晴子【季語＝桔梗（秋）】

秋鯖や上司罵るために酔ふ　草間時彦【季語＝秋鯖（秋）】

コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ　大橋晄【季語＝コスモス（秋）】

蟷螂にコップ被せて閉じ込むる　藤田哲史【季語＝蟷螂（秋）】

暮るるほど湖みえてくる白露かな　根岸善雄【季語＝白露（秋）】

葛咲くや嬬恋村の字いくつ　石田波郷【季語＝葛の花（秋）】

朝貌や惚れた女も二三日　夏目漱石【季語＝朝貌（秋）】

白萩を押してゆく身のぬくさかな　飯島晴子【季語＝白萩（秋）】

さわやかにおのが濁りをぬけし鯉　皆吉爽雨【季語＝爽やか（秋）】

秋めくや焼鳥を食ふひとの恋　石田波郷【季語＝秋めく（秋）】

夏が淋しいジャングルジムを揺らす　五十嵐秀彦【季語＝夏（夏）】

たべ飽きてとんとん歩く鴉の子　高野素十【季語＝鴉の子（夏）】

秋茄子の漬け色不倫めけるかな　岸田稚魚【季語＝秋茄子（秋）】

露草を持つて銀行に入つてゆく　飯島晴子【季語＝露草（秋）】

いちじくはジャムにあなたは元カレに　塩見恵介【季語＝いちじく（秋）】

さういへばもう秋か風吹きにけり　今井杏太郎【季語＝秋風（秋）】

鵙の朝肋あはれにかき抱く　石田波郷【季語＝鵙（秋）】

中年や遠くみのれる夜の桃　西東三鬼【季語＝桃（秋）】

怒濤聞くかたはら秋の蠅叩　飯島晴子【季語＝秋（秋）】

はるかよりはるかへ蜩のひびく　夏井いつき【季語＝蜩（秋）】

めちやくちやなどぜうの浮沈台風くる　秋元不死男【季語＝台風（秋）】

葛の花来るなと言つたではないか　飯島晴子【季語＝葛の花（秋）】

起座し得て爽涼の風背を渡る　肥田埜勝美【季語＝爽涼（秋）】

太る妻よ派手な夏着は捨てちまへ　ねじめ正也【季語＝夏着（夏）】

葛の花こぼれやすくて親匿され　飯島晴子【季語＝葛の花（秋）】

寝室にねむりの匂ひ稲の花　鈴木光影【季語＝稲の花（秋）】

よし切りや水車はゆるく廻りをり　高浜虚子【季語＝葭切（夏）】

すきとおるそこは太鼓をたたいてとおる　阿部完市

裸子の尻の青あざまてまてまて　小島健【季語＝裸子（夏）】

冷房とまる高階純愛の男女残し　金子兜太【季語＝冷房（夏）】

瀧見人子を先だてて来りけり　飯島晴子【季語＝滝見（夏）】

おほぞらを剝ぎ落したる夕立かな　櫛部天思【季語＝夕立（夏）】

おもかげや姨ひとりなく月の友　松尾芭蕉【季語＝月（秋）】

妹は滝の扉を恣　小山玄紀【季語＝滝（夏）】

中干しの稲に力を雲の峰　本宮哲郎【季語＝雲の峰（夏）】

白衣とて胸に少しの香水を　坊城中子【季語＝香水（夏）】

未草ひらく跫音淡々と　飯島晴子【季語＝未草（夏）】

水面に閉ぢ込められてゐる金魚　茅根知子【季語＝金魚（夏）】

生れたる蝉にみどりの橡世界　田畑美穂女【季語＝蝉（夏）】

南浦和のダリヤを仮のあはれとす　摂津幸彦【季語＝ダリヤ（夏）】

にんじんサラダわたし奥様ぢやないぞ 小川楓子【季語＝にんじん（冬）】

冬麗の谷人形を打ち合はせ 飯島晴子【季語＝冬麗（冬）】

花八つ手鍵かけしより夜の家 友岡子郷【季語＝花八つ手（冬）】

あたゝかき十一月もすみにけり 中村草田男【季語＝十一月（冬）】

裸木となりても鳥を匿へり 岡田由季【季語＝裸木（冬）】

静臥ただ落葉降りつぐ音ばかり 成田千空【季語＝落葉（冬）】

待春やうどんに絡む卵の黄 杉山久子【季語＝待春（春）】

山椒の実噛み愛憎の身の細り 清水径子【季語＝山椒の実（秋）】

小鳥来る薄き机をひからせて 飯島晴子【季語＝小鳥来る（秋）】

蓑虫の蓑脱いでゐる日曜日 涼野海音【季語＝蓑虫（秋）】

向日葵をつよく彩る色は黒 京極杞陽【季語＝向日葵（夏）】

縄跳をもつて大縄跳へ入る 小鳥遊五月【季語＝縄跳（冬）】

しやぼんだま死後は鏡の無き世界 佐々木啄実【季語＝石鹸玉（春）】

鹿の映れるまひるまのわが自転車旅行 飯島晴子【季語＝鹿（秋）】

貝殻の内側光る秋思かな 山西雅子【季語＝秋思（秋）】

つれづれのわれに蟇這ふ小庭かな 杉田久女【季語＝蟇（夏）】

秋うらら他人が見てゐて樹が抱けぬ 小池康生【季語＝秋うらら（秋）】

萩にふり芒にそそぐ雨とこそ 久保田万太郎【季語＝萩・芒（秋）】

湯の中にパスタのひらく花曇 森賀まり【季語＝花曇（春）】

恋ふたつ レモンはうまく切れません 松本恭子【季語＝レモン（秋）】

鹿や鶏の切紙下げる思案かな 飯島晴子

啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々 水原秋櫻子【季語＝啄木鳥（秋）】

べつたら市糀のつきし釣貰ふ 小林勇二【季語＝べつたら市（秋）】

秋・紅茶・鳥はきよとんと幸福に 上田信治【季語＝秋（秋）】

横顔は子規に若くなしラフランス 広渡敬雄【季語＝ラフランス（秋）】

五つずつ配れば四つ余る梨 箱森裕美【季語＝梨（秋）】

あきざくら咽喉に穴あく情死かな 宇多喜代子【季語＝あきざくら（秋）】

秋山に箸光らして人を追ふ 飯島晴子【季語＝秋山（秋）】

天高し鞄に辞書のかたくある 越智友亮【季語＝天高し（秋）】

新蕎麦のそば湯を棒のごとく注ぎ 鷹羽狩行【季語＝新蕎麦（秋）】

ロボットの手を拭いてやる秋灯下 杉山久子【季語＝秋灯下（秋）】

秋草の揺れの移れる体かな 涼野海音【季語＝秋草（秋）】

赤福のたひらなへらもあたたかし 杉山久子【季語＝あたたか（春）】

赤い月にんげんしろき足そらす 富澤赤黄男【季語＝月（秋）】

ここは敢て追はざる野菊皓かりき 飯島晴子【季語＝野菊（秋）】

また次の薪を火が抱き星月夜 吉田哲二【季語＝星月夜（秋）】

コスモスや泣きたくなつたので笑ふ 吉田林檎【季語＝コスモス（秋）】

黒岩さんと呼べば秋気のひとしきり 歌代美遥【季語＝秋気（秋）】

背広よりニットに移す赤い羽根 野中亮介【季語＝赤い羽根（秋）】

猫と狆と狆が椎茸ふみあらす 島津亮【季語＝椎茸（秋）】

泥棒の恋や月より吊る洋燈 大屋達治【季語＝月（秋）】

なにはともあれの末枯眺めをり 飯島晴子【季語＝末枯（秋）】

「十六夜ネ」といった女と別れけり 永六輔【季語＝十六夜（秋）】

月かげにみな美しき庭のもの 稲畑汀子【季語＝月影（秋）】

逢いたいと書いてはならぬ月と書く 池田澄子【季語＝月（秋）】

旅いつも雲に抜かれて大花野 岩田奎【季語＝大花野（秋）】

百方に借あるごとし秋の暮 石塚友二【季語＝秋の暮（秋）】

耳飾るをとこのしなや西鶴忌 山上樹実雄【季語＝西鶴忌（秋）】

肉声をこしらへてゐる秋の隕石 飯島晴子【季語＝秋（秋）】

手繰るてふ言葉も旨し走り蕎麦 益岡茱萸【季語＝走り蕎麦（秋）】

片足はみづうみに立ち秋の人 藤本夕衣【季語＝秋（秋）】

雨聴いて一つ灯に寄る今宵かな 村上鬼城【季語＝無月（秋）？】

なきがらや秋風かよふ鼻の穴 飯田蛇笏【季語＝秋風（秋）】

けふあすは誰も死なない真葛原 飯島晴子【季語＝葛の花（秋）】

敬老の日のどの席に座らうか 吉田松籟【季語＝敬老の日（秋）】

ラグビーのゴールは青き空にあり 長谷川櫂【季語＝ラグビー（冬）】

菊食うて夜といふなめらかな川 飯田晴【季語＝菊（秋）】

雨だれを聴きて信濃の濁り酒 德田千鶴子【季語＝濁り酒（秋）】

秋風や眼中のもの皆俳句 高浜虚子【季語＝秋風（秋）】

昼の虫手紙はみんな恋に似て 細川加賀【季語＝昼の虫（秋）】

婿は見えたり見えなかつたり桔梗畑 飯島晴子【季語＝桔梗（秋）】

秋鯖や上司罵るために酔ふ 草間時彦【季語＝秋鯖（秋）】

コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ 大橋 晄【季語＝コスモス（秋）】

蟷螂にコップ被せて閉じ込むる 藤田哲史【季語＝蟷螂（秋）】

暮るるほど湖みえてくる白露かな 根岸善雄【季語＝白露（秋）】

葛咲くや嬬恋村の字いくつ 石田波郷【季語＝葛の花（秋）】

朝貌や惚れた女も二三日 夏目漱石【季語＝朝貌（秋）】

白萩を押してゆく身のぬくさかな 飯島晴子【季語＝白萩（秋）】

さわやかにおのが濁りをぬけし鯉 皆吉爽雨【季語＝爽やか（秋）】

秋めくや焼鳥を食ふひとの恋 石田波郷【季語＝秋めく（秋）】

夏が淋しいジャングルジムを揺らす 五十嵐秀彦【季語＝夏（夏）】

たべ飽きてとんとん歩く鴉の子 高野素十【季語＝鴉の子（夏）】

秋茄子の漬け色不倫めけるかな 岸田稚魚【季語＝秋茄子（秋）】

露草を持つて銀行に入つてゆく 飯島晴子【季語＝露草（秋）】

いちじくはジャムにあなたは元カレに 塩見恵介【季語＝いちじく（秋）】

さういへばもう秋か風吹きにけり 今井杏太郎【季語＝秋風（秋）】

鵙の朝肋あはれにかき抱く 石田波郷【季語＝鵙（秋）】

中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼【季語＝桃（秋）】

怒濤聞くかたはら秋の蠅叩 飯島晴子【季語＝秋（秋）】

はるかよりはるかへ蜩のひびく 夏井いつき【季語＝蜩（秋）】

にんじんサラダわたし奥様ぢやないぞ　小川楓子【季語＝にんじん（冬）】

冬麗の谷人形を打ち合はせ　飯島晴子【季語＝冬麗（冬）】

花八つ手鍵かけしより夜の家　友岡子郷【季語＝花八つ手（冬）】

あたゝかき十一月もすみにけり　中村草田男【季語＝十一月（冬）】

裸木となりても鳥を匿へり　岡田由季【季語＝裸木（冬）】

静臥ただ落葉降りつぐ音ばかり　成田千空【季語＝落葉（冬）】

待春やうどんに絡む卵の黄　杉山久子【季語＝待春（春）】

山椒の実噛み愛憎の身の細り　清水径子【季語＝山椒の実（秋）】

小鳥来る薄き机をひからせて　飯島晴子【季語＝小鳥来る（秋）】

蓑虫の蓑脱いでゐる日曜日　涼野海音【季語＝蓑虫（秋）】

向日葵をつよく彩る色は黒　京極杞陽【季語＝向日葵（夏）】

縄跳をもつて大縄跳へ入る　小鳥遊五月【季語＝縄跳（冬）】

しやぼんだま死後は鏡の無き世界　佐々木啄実【季語＝石鹸玉（春）】

鹿の映れるまひるまのわが自転車旅行　飯島晴子【季語＝鹿（秋）】

貝殻の内側光る秋思かな　山西雅子【季語＝秋思（秋）】

つれづれのわれに蟇這ふ小庭かな　杉田久女【季語＝蟇（夏）】

秋うらら他人が見てゐて樹が抱けぬ　小池康生【季語＝秋うらら（秋）】

萩にふり芒にそそぐ雨とこそ　久保田万太郎【季語＝萩・芒（秋）】

湯の中にパスタのひらく花曇　森賀まり【季語＝花曇（春）】

恋ふたつ　レモンはうまく切れません　松本恭子【季語＝レモン（秋）】

鹿や鶏の切紙下げる思案かな　飯島晴子

啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々　水原秋櫻子【季語＝啄木鳥（秋）】

べつたら市糀のつきし釣貰ふ　小林勇二【季語＝べつたら市（秋）】

秋・紅茶・鳥はきよとんと幸福に　上田信治【季語＝秋（秋）】

横顔は子規に若くなしラフランス　広渡敬雄【季語＝ラフランス（秋）】

五つずつ配れば四つ余る梨　箱森裕美【季語＝梨（秋）】

あきざくら咽喉に穴あく情死かな　宇多喜代子【季語＝あきざくら（秋）】

秋山に箸光らして人を追ふ　飯島晴子【季語＝秋山（秋）】

天高し鞄に辞書のかたくある　越智友亮【季語＝天高し（秋）】

新蕎麦のそば湯を棒のごとく注ぎ　鷹羽狩行【季語＝新蕎麦（秋）】

ロボットの手を拭いてやる秋灯下　杉山久子【季語＝秋灯下（秋）】

秋草の揺れの移れる体かな　涼野海音【季語＝秋草（秋）】

赤福のたひらなへらもあたたかし　杉山久子【季語＝あたたか（春）】

赤い月にんげんしろき足そらす　富澤赤黄男【季語＝月（秋）】

ここは敢て追はざる野菊皓かりき　飯島晴子【季語＝野菊（秋）】

また次の薪を火が抱き星月夜　吉田哲二【季語＝星月夜（秋）】

コスモスや泣きたくなつたので笑ふ　吉田林檎【季語＝コスモス（秋）】

黒岩さんと呼べば秋気のひとしきり　歌代美遥【季語＝秋気（秋）】

背広よりニットに移す赤い羽根　野中亮介【季語＝赤い羽根（秋）】

猫と狆と狆が椎茸ふみあらす　島津亮【季語＝椎茸（秋）】

泥棒の恋や月より吊る洋燈　大屋達治【季語＝月（秋）】

なにはともあれの末枯眺めをり　飯島晴子【季語＝末枯（秋）】

「十六夜ネ」といった女と別れけり　永六輔【季語＝十六夜（秋）】

月かげにみな美しき庭のもの　稲畑汀子【季語＝月影（秋）】

逢いたいと書いてはならぬ月と書く　池田澄子【季語＝月（秋）】

旅いつも雲に抜かれて大花野　岩田奎【季語＝大花野（秋）】

百方に借あるごとし秋の暮　石塚友二【季語＝秋の暮（秋）】

耳飾るをとこのしなや西鶴忌　山上樹実雄【季語＝西鶴忌（秋）】

肉声をこしらへてゐる秋の隕石　飯島晴子【季語＝秋（秋）】

手繰るてふ言葉も旨し走り蕎麦　益岡茱萸【季語＝走り蕎麦（秋）】

片足はみづうみに立ち秋の人　藤本夕衣【季語＝秋（秋）】

雨聴いて一つ灯に寄る今宵かな　村上鬼城【季語＝無月（秋）？】

なきがらや秋風かよふ鼻の穴　飯田蛇笏【季語＝秋風（秋）】

けふあすは誰も死なない真葛原　飯島晴子【季語＝葛の花（秋）】

敬老の日のどの席に座らうか　吉田松籟【季語＝敬老の日（秋）】

ラグビーのゴールは青き空にあり　長谷川櫂【季語＝ラグビー（冬）】

菊食うて夜といふなめらかな川　飯田晴【季語＝菊（秋）】

雨だれを聴きて信濃の濁り酒　德田千鶴子【季語＝濁り酒（秋）】

秋風や眼中のもの皆俳句　高浜虚子【季語＝秋風（秋）】

昼の虫手紙はみんな恋に似て　細川加賀【季語＝昼の虫（秋）】

婿は見えたり見えなかつたり桔梗畑　飯島晴子【季語＝桔梗（秋）】

秋鯖や上司罵るために酔ふ　草間時彦【季語＝秋鯖（秋）】

コスモスを愛づゆとりとてなきゴルフ　大橋晄【季語＝コスモス（秋）】

蟷螂にコップ被せて閉じ込むる　藤田哲史【季語＝蟷螂（秋）】

暮るるほど湖みえてくる白露かな　根岸善雄【季語＝白露（秋）】

葛咲くや嬬恋村の字いくつ　石田波郷【季語＝葛の花（秋）】

朝貌や惚れた女も二三日　夏目漱石【季語＝朝貌（秋）】

白萩を押してゆく身のぬくさかな　飯島晴子【季語＝白萩（秋）】

さわやかにおのが濁りをぬけし鯉　皆吉爽雨【季語＝爽やか（秋）】

秋めくや焼鳥を食ふひとの恋　石田波郷【季語＝秋めく（秋）】

夏が淋しいジャングルジムを揺らす　五十嵐秀彦【季語＝夏（夏）】

たべ飽きてとんとん歩く鴉の子　高野素十【季語＝鴉の子（夏）】

秋茄子の漬け色不倫めけるかな　岸田稚魚【季語＝秋茄子（秋）】

露草を持つて銀行に入つてゆく　飯島晴子【季語＝露草（秋）】

いちじくはジャムにあなたは元カレに　塩見恵介【季語＝いちじく（秋）】

さういへばもう秋か風吹きにけり　今井杏太郎【季語＝秋風（秋）】

鵙の朝肋あはれにかき抱く　石田波郷【季語＝鵙（秋）】

中年や遠くみのれる夜の桃　西東三鬼【季語＝桃（秋）】

怒濤聞くかたはら秋の蠅叩　飯島晴子【季語＝秋（秋）】

はるかよりはるかへ蜩のひびく　夏井いつき【季語＝蜩（秋）】