「ホトトギス」 | セクト・ポクリット

桔梗やさわや／＼と草の雨楠目橙黄子【季語＝桔梗（秋）】

しんじつを籠めてくれなゐ真弓の実　後藤比奈夫【季語＝真弓の実（秋）】

鳥屋の窓四方に展けし花すゝき丹治蕪人【季語＝花すゝき（秋）】

秋めくやあゝした雲の出かゝれば池内たけし【季語＝秋めく（秋）】

後の月瑞穂の国の夜なりけり　村上鬼城【季語＝後の月（秋）】

コスモスのゆれかはしゐて相うたず鈴鹿野風呂【季語＝コスモス（秋）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年10月分】

淋しさに鹿も起ちたる馬酔木かな山本梅史【季語＝鹿（秋）】

蜩や久しぶりなる井の頭柏崎夢香【季語＝蜩（秋）】

月代は月となり灯は窓となる竹下しづの女【季語＝月（秋）】

茄子もぐ手また夕闇に現れし　吉岡禅寺洞【季語＝茄子（秋）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年9月分】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年8月分】

秋草のはかなかるべき名を知らず　相生垣瓜人【季語＝秋草（秋）】

生垣や忘れ一葉を落し掃く村尾公羽【季語＝一葉（秋）】

七夕のあしたの町にちる色帋麻田椎花【季語＝七夕（秋）】

夏山に勅封の大扉あり　宇佐美魚目【季語＝夏山（夏）】

なく声の大いなるかな汗疹の児　高浜虚子【季語＝汗疹（夏）】

大阪の屋根に入る日や金魚玉大橋櫻坡子【季語＝金魚玉（夏）】

からたちの花のほそみち金魚売　後藤夜半【季語＝金魚売（夏）】

盥にあり夜振のえもの尾をまげて柏崎夢香【季語＝夜振（夏）】

雲の中瀧かゞやきて音もなし　山口青邨【季語＝瀧（夏）】

行く涼し谷の向うの人も行く原石鼎【季語＝涼し（夏）】

又の名のゆうれい草と遊びけり　後藤夜半【季語＝ゆうれい草（夏）】

香水の一滴づつにかくも減る　山口波津女【季語＝香水（夏）】

山羊群れて夕立あとの水ほとり江川三昧【季語＝夕立（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年7月分】

思ひ沈む父や端居のいつまでも石島雉子郎【季語＝端居（夏）】

雲の峰ぬつと東京駅の上　鈴木花蓑【季語＝雲の峰（夏）】

水遊とはだんだんに濡れること　後藤比奈夫【季語＝水遊（夏）】

ががんぼの何が幸せ不幸せ　今井肖子【季語＝ががんぼ（夏）】

麦藁を束ねる足をあてにけり奈良鹿郎【季語＝麦藁（夏）】

いちまいの水田になりて暮れのこり　長谷川素逝【季語＝水田（夏）】

はしりすぎとまりすぎたる蜥蜴かな京極杞陽【季語＝蜥蜴（夏）】

而して蕃茄の酸味口にあり　嶋田青峰【季語＝トマト（夏）】

ほととぎす孝君零君ききたまへ　京極杞陽【季語＝時鳥（夏）】

紙魚の跡たどりて紙魚に逢はんとす　後藤夜半【季語＝紙魚（夏）】

船室の梅雨の鏡にうつし見る　日原方舟【季語＝梅雨（夏）】

仔馬にも少し荷を付け時鳥　橋本鶏二【季語＝時鳥（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年6月分】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第44回】安房と鈴木真砂女

さくらんぼ洗ひにゆきし灯がともり　千原草之【季語＝さくらんぼ（夏）】

蛇の衣傍にあり憩ひけり　高濱虚子【季語＝蛇の衣（夏）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第43回】淋代海岸と山口青邨

まどごしに與へ去りたる螢かな　久保より江【季語＝蛍（夏）】

麦からを焼く火にひたと夜は来ぬ　長谷川素逝【季語＝麦からを焼く？】

日蝕の鴉落ちこむ新樹かな　石田雨圃子【季語＝新樹（夏）】

捨て櫂や暑気たゞならぬ皐月空　飯田蛇笏【季語＝皐月（夏）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第42回】山中湖と深見けん二

白牡丹四五日そして雨どつと　高田風人子【季語＝白牡丹（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年5月分】

春暁のカーテンひくと人たてり　久保ゐの吉【季語＝春暁（春）】

かゝる世もありと暮しぬ春炬燵　松尾いはほ【季語＝春炬燵（春）】

蟲鳥のくるしき春を不爲　高橋睦郎【季語＝春（春）】

纐纈の大座布団や春の宵　真下喜太郎【季語＝春の宵（春）】

春山もこめて温泉の国造り　高濱虚子【季語＝春山（春）】

先生はいつもはるかや虚子忌来る　深見けん二【季語＝虚子忌（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年4月分】

夜着いて花の噂やさくら餅　關　圭草【季語＝桜餅（春）】

春愁は人なき都会魚なき海　野見山朱鳥【季語＝春愁（春）】

花の幹に押しつけて居る喧嘩かな　田村木國【季語＝花（春）】

春星や言葉の棘はぬけがたし　野見山朱鳥【季語＝春星（春）】

お障子の人見硝子や涅槃寺　河野静雲【季語＝涅槃寺（春）】

春宵や光り輝く菓子の塔　川端茅舎【季語＝春宵（春）】

春天の塔上翼なき人等　野見山朱鳥【季語＝春天（春）】

東京に居るとの噂冴え返る　佐藤漾人【季語＝冴え返る（春）】

廃墟春日首なきイエス胴なき使徒　野見山朱鳥【季語＝春日（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年3月分】

落椿とはとつぜんに華やげる　稲畑汀子【季語＝落椿（春）】

蝌蚪乱れ一大交響楽おこる　野見山朱鳥【季語＝蝌蚪（春）】

見てゐたる春のともしびゆらぎけり　池内たけし【季語＝春灯（春）】

仕る手に笛もなし古雛　松本たかし【季語＝古雛（春）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第37回】龍安寺と高野素十

春雪の一日が長し夜に逢ふ　山田弘子【季語＝春雪（春）】

【連載】もしあの俳人が歌人だったら Session#11

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年2月分】

ばばばかと書かれし壁の干菜かな高濱虚子【季語＝干菜（冬）】

早春や松のぼりゆくよその猫　藤田春梢女【季語＝早春（春）】

よき椅子にもたれて話す冬籠池内たけし【季語＝冬籠（冬）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第35回】英彦山と杉田久女

しんしんと寒さがたのし歩みゆく　星野立子【季語＝寒さ（冬）】

犬去れば次の犬来る鳥総松　大橋越央子【季語＝鳥総松（新年）】

左義長のまた一ところ始まりぬ　三木【季語＝左義長（新年）】

絵杉戸を転び止まりの手鞠かな山崎楽堂【季語＝手鞠（新年）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年1月分】

年を以て巨人としたり歩み去る高浜虚子【季語＝行年（冬）】

クリスマス近づく部屋や日の溢れ　深見けん二【季語＝クリスマス（冬）】

旗のごとなびく冬日をふと見たり　高浜虚子【季語＝冬日（冬）】

突として西洋にゆく暖炉かな　片岡奈王【季語＝暖炉（冬）】

茎石に煤をもれ来る霰かな　山本村家【季語＝茎石（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2021年12月分】

山茶花の日々の落花を霜に掃く　瀧本水鳴【季語＝山茶花（冬）】

替へてゐる畳の上の冬木影　浅野白山【季語＝冬木（冬）】

木の葉髪あはれゲーリークーパーも　京極杞陽【季語＝木の葉髪（冬）】

一陣の温き風あり返り花　小松月尚【季語＝返り花（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2021年11月分】

くゝ〳〵とつぐ古伊部の新酒かな　皿井旭川【季語＝新酒（秋）】

鵙の贄太古のごとく夕来ぬ　清原枴童【季語＝鵙の贄（秋）】

車椅子はもとより淋し十三夜成瀬正俊【季語＝十三夜（秋）】

鶴の来るために大空あけて待つ　後藤比奈夫【季語＝鶴来る（秋）】

桔梗やさわや／＼と草の雨 楠目橙黄子￼【季語＝桔梗（秋）】

しんじつを籠めてくれなゐ真弓の実￼ 後藤比奈夫￼【季語＝真弓の実（秋）】

鳥屋の窓四方に展けし花すゝき￼ 丹治蕪人￼【季語＝花すゝき（秋）】

秋めくやあゝした雲の出かゝれば￼ 池内たけし￼【季語＝秋めく（秋）】

後の月瑞穂の国の夜なりけり￼ 村上鬼城￼【季語＝後の月（秋）】

コスモスのゆれかはしゐて相うたず￼ 鈴鹿野風呂￼【季語＝コスモス（秋）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年10月分】

淋しさに鹿も起ちたる馬酔木かな 山本梅史【季語＝鹿（秋）】

蜩や久しぶりなる井の頭￼ 柏崎夢香￼【季語＝蜩（秋）】

月代は月となり灯は窓となる 竹下しづの女￼【季語＝月（秋）】

茄子もぐ手また夕闇に現れし￼ 吉岡禅寺洞￼【季語＝茄子（秋）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年9月分】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年8月分】

秋草のはかなかるべき名を知らず 相生垣瓜人￼【季語＝秋草（秋）】

生垣や忘れ一葉を落し掃く 村尾公羽【季語＝一葉（秋）】

七夕のあしたの町にちる色帋 麻田椎花【季語＝七夕（秋）】

夏山に勅封の大扉あり 宇佐美魚目【季語＝夏山（夏）】

なく声の大いなるかな汗疹の児 高浜虚子【季語＝汗疹（夏）】

大阪の屋根に入る日や金魚玉 大橋櫻坡子￼【季語＝金魚玉（夏）】

からたちの花のほそみち金魚売 後藤夜半【季語＝金魚売（夏）】

盥にあり夜振のえもの尾をまげて￼ 柏崎夢香￼【季語＝夜振（夏）】

雲の中瀧かゞやきて音もなし 山口青邨【季語＝瀧（夏）】

行く涼し谷の向うの人も行く 原石鼎￼【季語＝涼し（夏）】

又の名のゆうれい草と遊びけり 後藤夜半【季語＝ゆうれい草（夏）】

香水の一滴づつにかくも減る 山口波津女【季語＝香水（夏）】

山羊群れて夕立あとの水ほとり￼ 江川三昧【季語＝夕立（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年7月分】

思ひ沈む父や端居のいつまでも 石島雉子郎【季語＝端居（夏）】

雲の峰ぬつと東京駅の上 鈴木花蓑￼【季語＝雲の峰（夏）】

水遊とはだんだんに濡れること 後藤比奈夫【季語＝水遊（夏）】

ががんぼの何が幸せ不幸せ 今井肖子【季語＝ががんぼ（夏）】

麦藁を束ねる足をあてにけり 奈良鹿郎￼【季語＝麦藁（夏）】

いちまいの水田になりて暮れのこり 長谷川素逝【季語＝水田（夏）】

はしりすぎとまりすぎたる蜥蜴かな 京極杞陽￼【季語＝蜥蜴（夏）】

而して蕃茄の酸味口にあり 嶋田青峰【季語＝トマト（夏）】

ほととぎす孝君零君ききたまへ 京極杞陽【季語＝時鳥（夏）】

紙魚の跡たどりて紙魚に逢はんとす 後藤夜半【季語＝紙魚（夏）】

船室の梅雨の鏡にうつし見る 日原方舟￼【季語＝梅雨（夏）】

仔馬にも少し荷を付け時鳥￼ 橋本鶏二【季語＝時鳥（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年6月分】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第44回】 安房と鈴木真砂女

さくらんぼ洗ひにゆきし灯がともり 千原草之【季語＝さくらんぼ（夏）】

蛇の衣傍にあり憩ひけり 高濱虚子【季語＝蛇の衣（夏）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第43回】 淋代海岸と山口青邨￼

まどごしに與へ去りたる螢かな 久保より江【季語＝蛍（夏）】

麦からを焼く火にひたと夜は来ぬ 長谷川素逝【季語＝麦からを焼く？】￼

日蝕の鴉落ちこむ新樹かな 石田雨圃子【季語＝新樹（夏）】

捨て櫂や暑気たゞならぬ皐月空 飯田蛇笏【季語＝皐月（夏）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第42回】 山中湖と深見けん二￼

白牡丹四五日そして雨どつと 高田風人子【季語＝白牡丹（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年5月分】

春暁のカーテンひくと人たてり 久保ゐの吉【季語＝春暁（春）】

かゝる世もありと暮しぬ春炬燵 松尾いはほ【季語＝春炬燵（春）】

蟲鳥のくるしき春を不爲 高橋睦郎【季語＝春（春）】

纐纈の大座布団や春の宵 真下喜太郎【季語＝春の宵（春）】

春山もこめて温泉の国造り 高濱虚子【季語＝春山（春）】

先生はいつもはるかや虚子忌来る 深見けん二【季語＝虚子忌（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年4月分】

夜着いて花の噂やさくら餅 關 圭草【季語＝桜餅（春）】

春愁は人なき都会魚なき海 野見山朱鳥【季語＝春愁（春）】

花の幹に押しつけて居る喧嘩かな 田村木國【季語＝花（春）】

春星や言葉の棘はぬけがたし 野見山朱鳥【季語＝春星（春）】

お障子の人見硝子や涅槃寺 河野静雲【季語＝涅槃寺（春）】

春宵や光り輝く菓子の塔 川端茅舎【季語＝春宵（春）】

春天の塔上翼なき人等 野見山朱鳥【季語＝春天（春）】

東京に居るとの噂冴え返る 佐藤漾人【季語＝冴え返る（春）】

廃墟春日首なきイエス胴なき使徒 野見山朱鳥【季語＝春日（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年3月分】

落椿とはとつぜんに華やげる 稲畑汀子【季語＝落椿（春）】

蝌蚪乱れ一大交響楽おこる 野見山朱鳥【季語＝蝌蚪（春）】

見てゐたる春のともしびゆらぎけり 池内たけし【季語＝春灯（春）】

仕る手に笛もなし古雛 松本たかし【季語＝古雛（春）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第37回】龍安寺と高野素十￼

春雪の一日が長し夜に逢ふ 山田弘子【季語＝春雪（春）】￼

【連載】もしあの俳人が歌人だったら Session#11

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年2月分】

ばばばかと書かれし壁の干菜かな 高濱虚子【季語＝干菜（冬）】

早春や松のぼりゆくよその猫 藤田春梢女【季語＝早春（春）】

よき椅子にもたれて話す冬籠 池内たけし【季語＝冬籠（冬）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第35回】英彦山と杉田久女

桔梗やさわや／＼と草の雨楠目橙黄子【季語＝桔梗（秋）】

しんじつを籠めてくれなゐ真弓の実　後藤比奈夫【季語＝真弓の実（秋）】

鳥屋の窓四方に展けし花すゝき丹治蕪人【季語＝花すゝき（秋）】

秋めくやあゝした雲の出かゝれば池内たけし【季語＝秋めく（秋）】

後の月瑞穂の国の夜なりけり　村上鬼城【季語＝後の月（秋）】

コスモスのゆれかはしゐて相うたず鈴鹿野風呂【季語＝コスモス（秋）】

淋しさに鹿も起ちたる馬酔木かな山本梅史【季語＝鹿（秋）】

蜩や久しぶりなる井の頭柏崎夢香【季語＝蜩（秋）】

月代は月となり灯は窓となる竹下しづの女【季語＝月（秋）】

茄子もぐ手また夕闇に現れし　吉岡禅寺洞【季語＝茄子（秋）】

秋草のはかなかるべき名を知らず　相生垣瓜人【季語＝秋草（秋）】

生垣や忘れ一葉を落し掃く村尾公羽【季語＝一葉（秋）】

七夕のあしたの町にちる色帋麻田椎花【季語＝七夕（秋）】

夏山に勅封の大扉あり　宇佐美魚目【季語＝夏山（夏）】

なく声の大いなるかな汗疹の児　高浜虚子【季語＝汗疹（夏）】

大阪の屋根に入る日や金魚玉大橋櫻坡子【季語＝金魚玉（夏）】

からたちの花のほそみち金魚売　後藤夜半【季語＝金魚売（夏）】

盥にあり夜振のえもの尾をまげて柏崎夢香【季語＝夜振（夏）】

雲の中瀧かゞやきて音もなし　山口青邨【季語＝瀧（夏）】

行く涼し谷の向うの人も行く原石鼎【季語＝涼し（夏）】

又の名のゆうれい草と遊びけり　後藤夜半【季語＝ゆうれい草（夏）】

香水の一滴づつにかくも減る　山口波津女【季語＝香水（夏）】

山羊群れて夕立あとの水ほとり江川三昧【季語＝夕立（夏）】

思ひ沈む父や端居のいつまでも石島雉子郎【季語＝端居（夏）】

雲の峰ぬつと東京駅の上　鈴木花蓑【季語＝雲の峰（夏）】

水遊とはだんだんに濡れること　後藤比奈夫【季語＝水遊（夏）】

ががんぼの何が幸せ不幸せ　今井肖子【季語＝ががんぼ（夏）】

麦藁を束ねる足をあてにけり奈良鹿郎【季語＝麦藁（夏）】

いちまいの水田になりて暮れのこり　長谷川素逝【季語＝水田（夏）】

はしりすぎとまりすぎたる蜥蜴かな京極杞陽【季語＝蜥蜴（夏）】

而して蕃茄の酸味口にあり　嶋田青峰【季語＝トマト（夏）】

ほととぎす孝君零君ききたまへ　京極杞陽【季語＝時鳥（夏）】

紙魚の跡たどりて紙魚に逢はんとす　後藤夜半【季語＝紙魚（夏）】

船室の梅雨の鏡にうつし見る　日原方舟【季語＝梅雨（夏）】

仔馬にも少し荷を付け時鳥　橋本鶏二【季語＝時鳥（夏）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第44回】安房と鈴木真砂女

さくらんぼ洗ひにゆきし灯がともり　千原草之【季語＝さくらんぼ（夏）】

蛇の衣傍にあり憩ひけり　高濱虚子【季語＝蛇の衣（夏）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第43回】淋代海岸と山口青邨

まどごしに與へ去りたる螢かな　久保より江【季語＝蛍（夏）】

麦からを焼く火にひたと夜は来ぬ　長谷川素逝【季語＝麦からを焼く？】

日蝕の鴉落ちこむ新樹かな　石田雨圃子【季語＝新樹（夏）】

捨て櫂や暑気たゞならぬ皐月空　飯田蛇笏【季語＝皐月（夏）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第42回】山中湖と深見けん二

白牡丹四五日そして雨どつと　高田風人子【季語＝白牡丹（夏）】

春暁のカーテンひくと人たてり　久保ゐの吉【季語＝春暁（春）】

かゝる世もありと暮しぬ春炬燵　松尾いはほ【季語＝春炬燵（春）】

蟲鳥のくるしき春を不爲　高橋睦郎【季語＝春（春）】

纐纈の大座布団や春の宵　真下喜太郎【季語＝春の宵（春）】

春山もこめて温泉の国造り　高濱虚子【季語＝春山（春）】

先生はいつもはるかや虚子忌来る　深見けん二【季語＝虚子忌（春）】

夜着いて花の噂やさくら餅　關　圭草【季語＝桜餅（春）】

春愁は人なき都会魚なき海　野見山朱鳥【季語＝春愁（春）】

花の幹に押しつけて居る喧嘩かな　田村木國【季語＝花（春）】

春星や言葉の棘はぬけがたし　野見山朱鳥【季語＝春星（春）】

お障子の人見硝子や涅槃寺　河野静雲【季語＝涅槃寺（春）】

春宵や光り輝く菓子の塔　川端茅舎【季語＝春宵（春）】

春天の塔上翼なき人等　野見山朱鳥【季語＝春天（春）】

東京に居るとの噂冴え返る　佐藤漾人【季語＝冴え返る（春）】

廃墟春日首なきイエス胴なき使徒　野見山朱鳥【季語＝春日（春）】

落椿とはとつぜんに華やげる　稲畑汀子【季語＝落椿（春）】

蝌蚪乱れ一大交響楽おこる　野見山朱鳥【季語＝蝌蚪（春）】

見てゐたる春のともしびゆらぎけり　池内たけし【季語＝春灯（春）】

仕る手に笛もなし古雛　松本たかし【季語＝古雛（春）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第37回】龍安寺と高野素十

春雪の一日が長し夜に逢ふ　山田弘子【季語＝春雪（春）】

ばばばかと書かれし壁の干菜かな高濱虚子【季語＝干菜（冬）】

早春や松のぼりゆくよその猫　藤田春梢女【季語＝早春（春）】

よき椅子にもたれて話す冬籠池内たけし【季語＝冬籠（冬）】

しんしんと寒さがたのし歩みゆく　星野立子【季語＝寒さ（冬）】

犬去れば次の犬来る鳥総松　大橋越央子【季語＝鳥総松（新年）】

左義長のまた一ところ始まりぬ　三木【季語＝左義長（新年）】

絵杉戸を転び止まりの手鞠かな山崎楽堂【季語＝手鞠（新年）】

年を以て巨人としたり歩み去る高浜虚子【季語＝行年（冬）】

クリスマス近づく部屋や日の溢れ　深見けん二【季語＝クリスマス（冬）】

旗のごとなびく冬日をふと見たり　高浜虚子【季語＝冬日（冬）】

突として西洋にゆく暖炉かな　片岡奈王【季語＝暖炉（冬）】

茎石に煤をもれ来る霰かな　山本村家【季語＝茎石（冬）】

山茶花の日々の落花を霜に掃く　瀧本水鳴【季語＝山茶花（冬）】

替へてゐる畳の上の冬木影　浅野白山【季語＝冬木（冬）】