カテゴリー:堀切克洋(試験版)
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ラガーらの目に一瞬の空戻る 阪西敦子【季語=ラガー(冬)】
ラガーらの目に一瞬の空戻る 阪西敦子 明日10月1日から「ハイクノミカタ」の本編がスタートします。 いままで私が書いてきたのは、前座というか練習台。拙い鑑賞文にお付き合いいた…詳細を見る -
衣被我のみ古りし夫婦箸 西村和子【季語=衣被(秋)】
衣被我のみ古りし夫婦箸 西村和子 西村和子の第8句集『わが桜』(KADOKAWA、2020年)より引いた。 作者は1948年生まれ、団塊の世代である。大学入学と同時に「慶大俳…詳細を見る -
対岸や壁のごとくに虫の闇 抜井諒一【季語=虫(秋)】
対岸や壁のごとくに虫の闇 抜井諒一 夜である。 目の前に川が流れていて、その向こうの草木のほうから虫の鳴き声だけが聞こえてくる。川音は聞こえているが、川はゆらゆらと月光をほの…詳細を見る -
馬鈴薯の一生分が土の上 西村麒麟【季語=馬鈴薯(秋)】
馬鈴薯の一生分が土の上 西村麒麟 じゃがいも畑に「一生分」の、いやおそらく一生かけても食べられないほどのじゃがいもが植わっている。 もしそれが全部貰えるなら、とりあえず食う…詳細を見る -
石よりも固くなりたき新松子 後藤比奈夫【季語=新松子(秋)】
石よりも固くなりたき新松子 後藤比奈夫 「新松子」は「しんちぢり」と読む。その年に新しくできた松笠のこと。つまりは、松ぼっくりのニューカマーのこと。 この夏のバカンスで、ボル…詳細を見る -
街坂に雁見て息をゆたかにす 福永耕二【季語=雁(秋)】
街坂に雁見て息をゆたかにす 福永耕二 福永耕二について知りたい方は、大林桂の「青春のかたみ――遺句集『散木』を頂点とした福永耕二論」という文章がおすすめだ。最近では、仲栄司…詳細を見る -
耳立てて林檎の兎沈めおり 対馬康子【季語=林檎(秋)】
耳立てて林檎の兎沈めおり 対馬康子 フランスでも「bento」が売られているのをよく見かけるが、それはあくまで弁当屋の弁当である。もちろん、bento箱は売られてはいるのだが、中身…詳細を見る -
稲妻となつてお前を喜ばさう 竹岡一郎【季語=稲妻(秋)】
稲妻となつてお前を喜ばさう 竹岡一郎 英語やフランス語は、「客観的事実」から「現実味のうすい内容」を引き離すことが、文法的に構造化されている。「仮定法」とか「条件法」と呼ばれている…詳細を見る -
結構違ふよ団栗の背くらべ 小林貴子【季語=団栗(秋)】
結構違ふよ団栗の背くらべ 小林貴子 俳句の楽しみのひとつは、句の「発話の向き」を考えることである。 「発話の向き」というのは、誰が誰に向かって言葉を発しているのか、と…詳細を見る -
聞えない耳なら石榴ぶらさげよ 金原まさ子【季語=石榴(秋)】
聞えない耳なら石榴ぶらさげよ 金原まさ子 今年6月に亡くなった後藤比奈夫さんは、103歳で天寿を全うされたが、金原まさ子さんが亡くなったときの年齢は、106歳だった。ご逝去は、20…詳細を見る -
ふくしまに生れ今年の菊膾 深見けん二【季語=菊膾(秋)】
ふくしまに生れ今年の菊膾 深見けん二 昨日は「子規忌」だったので、田中裕明について書いたが、今日は長命の俳人について書かせていただく。 今年は後藤比奈夫(1917-2020)…詳細を見る -
食欲の戻りてきたる子規忌かな 田中裕明【季語=子規忌(秋)】
食欲の戻りてきたる子規忌かな 田中裕明 本日、9月19日は「子規忌」である。 現代俳句の美学の礎をつくった理論家である正岡子規の命日だ。激動の20世紀がはじまったばかりの19…詳細を見る